思いもよらず
アラガイs


(それは露ともしらず望月が、不作法なふるまいだと受け取られたなら仕方ない) 。
待てど暮らせど宵の宴はひとり戯れて、柏木に鶯の嫉み浮かぶ朧気な紫が、月は滴るる縁側を垂れし藤の棚

枕ことば乱れし御息所は絢爛と、妻戸開けばくぐる妙院の門初初ぞ、痾痾、うれしや花散る里にはおんな三の宮

はや五月雨て省みぬ、貢ぎし金色の雲は隠れ、落ちの葉にて桐もなく、空蝉に匂う玉葛、御衣脱ぎ捨てて明石を辿る式部はおかま、実は末摘の花 。
(それは幻のなかで宮中を語るひかりなきこと。現実にはあり得ぬ夢物語だと知らされても仕方ないよね 。)










自由詩 思いもよらず Copyright アラガイs 2011-12-02 01:21:06
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