くちなしの詩
木屋 亞万

くちなしの花が咲く
つやつやとした葉の上に
やわらかい真っ白な花をつける
甘いにおいを漂わせながら
白は枯れていく気配をみせる

くちなしの私はもう
何も語ることができない
唇は血色を失って青く
しまいには白い二枚の花弁になる

喉は枯れ
耳も塞がり
目を閉じて
くちなしの私は
雨の中で匂う

私が死んでしまったら
棺をくちなしの花で満たしてください
「私は幸せです」という言葉もろともに燃えて
白い骨になりましょう
その白もやがては黄色く枯れて
花のように土へと帰りましょう

緑の丘に咲く星のように
一面の緑の中に白いアスタリスクが香る
軽やかなくちなしの
あの花のしあわせを胸に
私は眠ります

土の中に埋められた私は
空から降る雨に濡れて
惑星の欠片の小さな粒のまま
甘いにおいに包まれる


自由詩 くちなしの詩 Copyright 木屋 亞万 2011-07-08 01:27:14
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