少しだけ不思議
クローバー

回転する音がしている
空腹からは逃げられない、生きていること
そして、自由ではないこと、を知らせる音

猫型ロボットは、おなかに、宇宙を張り付けて
いつだって空っぽで、そりゃ、空腹だろう
空飛べるなら、飛行機なんて作らなくてよかった
どこでも行けるなら、天国の、3丁目まで。

膨張を続ける宇宙の、端の壁に手を突いて、
先にここへ戻ってきた方が勝ち。
ようい、どん。

理想の家
というタイトルの絵には
母になろうとする女性が輪切りになって描かれている
矢印が引っ張ってある
ME!
女性のおなかの中で
逆さまに、丸まっている胎児を指している。

空腹でないことは
少しだけ不思議、と言いたそうに首をかしげる。

宇宙の端には、まだ、手を突いていない
戻ってはこれないことを知らない
まだ、僕ではない、誰かだった話。


自由詩 少しだけ不思議 Copyright クローバー 2010-01-28 21:48:47
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