ショートレビュー・サンデー新執筆者のことこです。どうも。
批評祭でツユサキさんの文章を読んで、あ、いいなと思ったので、便乗させてもらうことにしました。たのしく気楽に、隠れた名作も隠れてない名作も紹介していけたらいいな、と思います。
今回は、
◆冬の朝のメルヘン / A道化さん
◆はしばしからふるひかり / あすくれかおすさん
◆やさしく眠る/急いで起きる / ma-yaさん
の、三本立てです。
◆冬の朝のメルヘン / A道化さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=176045
A道化さんといえば、その特徴のひとつに敬語の使い方、がありますが、特にこの詩における「くださる」のうつくしい輝きは、目を見張るものがありますね。
「妖精」「セロファン」「ペン先」「眼差しの泉」「氷つぶ」ひとつひとつの言葉がとても繊細で、手に触れるのも思わず躊躇われるような、うつくしい結晶と、その奥でねむる「わたしの夜」の満たされないかなしさが、印象的な作品です。
◆はしばしからふるひかり / あすくれかおすさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=199633
「けどさー、鮭ってもとはひとつじゃん?/フレークのひとつって何よ?」ここ、かっこよくてぐっとくる。細胞とか、分子とか原子とか、そこらへんまでばらばらにしてしまったら、それこそもう、「誰を、誰が始めたっていい」のかもしれないね。
冒頭の、静かに脈打ちだす朝の町の空気もとてもいい。
「いるって、寒い」し、「いるって、ぬるくなる」から、生まれてくることとか、生きることとか、きらきらしてるんだろうねぇ、なんてことを、さくっと書けてしまう文体に憧れてしまう作品です。
◆やさしく眠る/急いで起きる / ma-yaさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=174859
ma-yaさんはたぶん、自分の内面を、詩の言葉として変換して描くのが、とてもうまい人なのだと思う。変換、というのは、噛み砕く、と言い換えてもいい。
だからこそ、恐らく非常に個人的な体験や思いを元にして、あぁ、分かる、と読み手の近い部分に触れる言葉が綴れるのだと思う。
2連なんか、非常にma-yaさんらしくて、胸に迫ってきて好きです。特に、「意志とはかんけいなく/もわもわと膨らみ/肉ははじけるくらい/内からはみ出していく」のところ。
「つー、ぽたっ」からの展開も、タイトルに相応しくてとてもいいですね。
ちなみにこれはpoeniqueの即興ゴルコンダのお題作品で、お題自体もとてもよいので、あおばさん(
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=174940)、木屋 亞万さん(
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=174795)、小川 葉さん(
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=174776)いずれの作品も名作です。