散恋休
クローバー

佐鳴湖公園を散歩する
背の高い街路樹がカーブを描く
一点透視で並んでいく

それは、メタセコイヤ
杉科の樹で化石にもなるほど昔から、
変わらぬ形をしているのだという
背は、20mほどになろう
何十本と並んでいる。

葉はほとんど落ち
寒色の空には、
裸になった枝で、細くひびが入っていた。
落ち葉は、道の端、足下に。

土とその葉の間で
身を潜め、
暖をとり
体を寄せあいながら
次の春を、虫たちは待っているのだろう。

まるで、「僕ら」だ。

僕らは、虫のようにしか、好意を表せないのだろう。

メタセコイヤが、同じ葉を散らしてきた昔から
その葉の下で、じっと息を潜めて休んできたのだろう。

何世代も前の僕らが、繰り返し、恋をして。

気付けば化石になっていく僕を
街路樹が見下ろしている。


自由詩 散恋休 Copyright クローバー 2010-01-19 20:49:07
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