passage
クローバー

抜け道を勇猛果敢な鳥が空の刀へ
腹の曇天を裂き明日へと逃げていった。

だれもいない
君の言葉にはもううんざりだと言う人も

靴ひもを結べ、
それが君の手

裏道には、ガラス瓶の猫
迷惑そうに、ぎち、と目を向けた

表には、引き上げられた深海魚
体内器官を口からぶら下げ
人々が歩いている
あの、と声をかけると
もごもごと腸を噛み、
聞き取る前に、去っていった

目を裏道に戻す、と
もう、猫はいない

足下には君の手が結んだ鳥
結び目を胴にした鳥は
飛び立つときを、じっと待っている。


自由詩  passage Copyright クローバー 2010-01-17 21:18:08
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