葉桜の木陰で
水町綜助


これが
きみの体

そう言って
葉桜になった
枝をもぎって
ひらいて見せた
掌には
千切れたり
擦り潰れた
緑色の葉と
黒い枝があった
あんなにも
咲いて散った花びらは
どこへ行ったのか
僕たちのはっする
金切り声のような
割れる頭上に
薄く、ずっと
乾いてしまっている
口ずさめない青したセロファンか

あれだけ散った
花びらと受粉と
がくとは
もう水の溜まる側溝にもない


季節って流れる
その狭間を
僕たちは見ない
目を覚ました朝に
溶けるので
気づくより先に
水と流し込んでしまう
だから四月の朝に唇から
コップのふちを離してつく息には
すこしだけ色がついている


自由詩 葉桜の木陰で Copyright 水町綜助 2009-09-21 20:24:40
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