もう香りがのこる
残り香が横断する道路の

道路の
広すぎる
歩幅を足がちぎれるほど
振り出し
わたる
わたったあの環状道路
青く雲がたなびくあの
勾配ある町の向こうには
排気 ....
1985-
空に敷かれた黒いうろこが
ぽろぽろと剥がれてゆくとき
一枚が地に落ち
流れ出す水の音が聞こえ
また一枚が地に落ち
呼気が甲高く
一枚が砕けて
それはなき声と繋がって

 ....
彩られるものが
みな与えられた
土踏まずから
色を浮かべるべく
積み上げるなら
空白は胸元にわだかまり
高く屹立した
天蓋に設えた地平は
ゆらゆらと昇る陽も
沈む陽もゆらゆらと
パ ....
だれ と呼ばれる人が
(木立のあいだ
(ほほにその影を落として
だれ と僕を
(眉をひそめて
(訝しんでいる
僕 は、じっ」と日時計のような
緑の落とす影が
うごいてゆくことを
目に ....
石を蹴ったら靴が脱げて

靴を拾いに行ったら国境を越えた

そんな風に僕はあいさつをして

君はバナナを一本僕にくれた

皮をむいて

あまりおなかは空いていなかったけど

バ ....
カインツホーム
ぼくたちは
ある晴れた
空白が青く
平屋の建物に
くり抜かれた
にちように
ポカリと口を開け
まぶしいと
顔をしかめながら
柱から斜めに切れ込む
影に半身を切り取 ....
これが
きみの体

そう言って
葉桜になった
枝をもぎって
ひらいて見せた
掌には
千切れたり
擦り潰れた
緑色の葉と
黒い枝があった
あんなにも
咲いて散った花びらは
 ....
いつだって窓は
逆光に黒いコンクリートを四角くくり抜いて
冷たさと
まだ見ぬ町と
まだ起こらない出来事と
未だ語られない言葉と
遠い町の中を走り抜ける音で彩色された
真っ青な空を映してい ....
初夏の風の流れかたは
グラウンド横にもえる雑木林の
緑の揺れかたであらわされるらしい
美しく思いすぎないよう
美しく思いすぎないよう
丘を登る道を歩く
ふたつ影は千鳥格子に
新緑と樹間を ....
夏の日が薄紫色に
透けて近いので
君になにかを書きます

花が開いては
落ち
黒い道路を汚しては
それをふまないよう
ふまないよう
すこし飛ぶように
歩き

振り向いたなら
 ....
新月の夜に
世界中が停電して
僕が誰だかも
わからなくて
原初の闇の中に
視界が境界を無くして
僕が誰だかも
わからなくなったら
初めてこの言葉も
線の一本一本をほどいて
かたちか ....
いくつか
間を置いたあとに
白紙を折りたたみ
コートのポケットにしまう
しまってぼくは
身体の中を思う

朝の中
はじめて
瞳の色や
ふたえ瞼がわかるなら
さし当たりの悲しみより ....
 白色の波形を目でなぞった
うねりは遠く
目を凝らすほど直線的に
街の始まりで折り込まれ
目には見えないまま続いていった
そんなように思う

ひとみに映らないものを見ること
地下鉄の座 ....
めぐすりの一滴
まるい瞳を覆うように
濡らして

顔を上げ
二本の指で広げ
くりかえす
くりかえす音
地下鉄は走りつづける
窓から漏れる明かりだけに
照らされる壁が
ながれる傍線 ....
発音は銀色に
ぎらぎら光る手すりの曲面だとか
ビロードの毛羽立つ座席の
柔らかなスプリングだとか
陽射しを受けて鏡のように
ホームに立つ自分を映してしまうような
ガラス窓だかに当たって
 ....
 太陽を解体した
 肉と光沢だった
 肉は森になり
 海と川は光沢から作られた

 太陽のあった場所は
 瞳に焼き付き
 ずっと円く光って照らした
 
 そういうものだっ ....
手のひらで乾きつつある血の色や
頬についた砂つぶ
それを指で払い落とす

あの
ざらざらとした手触りに
あの
深さをまして沈む色に
瑞々しさはあって
血の色が
紫がかっていた
だ ....
あらためて

そんなものどうでもいいって
おもいながらも
あえて思うのは

恋愛、のぐあい

恋愛ってそんなことば
はずかしくて
なんともはや
いいづらいけど
いまだ夢見ている ....
クラッカーが鳴らされた
遠い船旅への出航にも似て
さまざまな色の
無数のリボンが流れては
黒い羅紗の床を汚してゆく
ひとつの別れなのか
祝うべきことなのか
知らない
どこへ ....
桜の花びらはもう枝から落ち、表になったり裏になったり、吹く風にくるくると回されたりしながら、春の終わりに舞っていた。
運河沿いの町なかにぽっかりと作られた狭い小さな公園だった。
数えるほどのベンチ ....
  瑞々しさ

 かじかむ
 手があれは
 「かがやく町だったと言った
  なにごともない町並み
  を抜けてゆるやかに
  傾ぎながら地下鉄は春の
  空へ。出る駅前はぐるりといたる ....
何もない昼に

見てみたいのは

海の上に向かう道の街路樹

真夏の光

三十三度以上の空気が揺らめき立ち上る町の

そのビルの斜面

ざらついた肌

金色に濡れたみたいに ....
ビルと広葉樹に噛みつかれた空にほら

ペンキ屋が刷毛で雲をかいた

青い帽子をうしろにかぶって

僕はベンチに座って甘すぎるコーヒーを飲みながらそれを見てる

その下に川はとうとうと流 ....
金色の銀杏の葉が
車道の上で
巻き上げられて
流れて
はしる
オートバイの
吹きすぎる
排気に
何か書き込むなら
こんにちはと
さようなら
なんて
テキトーに
誰も聞いちゃな ....
入り組んだ路地を幾つも
曲がって歩いていると
街を知るように街を見失い
緑色に光る道に出た
夜のうち街灯は光るようで
電球をみれば灯りは点いていない
靴音が聞こえないので足元を見れば
履 ....
固ゆでの
黄身が底にころがっていたので
指でつついたら「u、あい」とはっきりしない返事をした
たぶん俯いているかつっぷしているかして
声がくぐもっている
白身はどこへいったかと訊ねると
ま ....
ビールのんでぇ
黒霧のんでぇ
熱燗のんでぇ
きもちわるい

何で急にこんな
夜の恵比寿
えべっさん像が
クリスマスツリーを
真横におっ建てられて
街灯の灯りのせいかもしんないけど
 ....
愛ということについて
そのことをぼくはたくさんの人々が考えては
よくわからないとその一言にまつわる
その一言のもつ浮力だけに頼るように
やりすごしてきた
ぼくはその一言についてまわる
さま ....
    
    
    わらっていた
    こどもたちは
    もう鉄塔から降りた
    手のひらに
    赤錆を
    たくさんつけて
    ひとりが
    鉄錆 ....
あんた

さけ

のみなはれ

のみなはれ

ってうたってんのか

千葉の空が高い

ツーストのゼッペケのハチの羽音みたいな排気音も高く


犬吠埼へ行った昔

犬は ....
水町綜助(224)
タイトル カテゴリ Point 日付
道をわたらなかった声自由詩510/1/24 5:25
1978-自由詩510/1/17 11:28
鏡面の川、水門の波形自由詩210/1/17 11:27
日時計自由詩210/1/1 13:56
家族自由詩809/10/2 14:49
_自由詩709/9/22 20:41
葉桜の木陰で自由詩609/9/21 20:24
そのころ、それを聴いた僕たちは自由詩809/5/5 23:27
記念写真のような自由詩7*09/4/29 13:54
すべて取り違えてみた声と体自由詩10*09/4/20 23:30
おやすみ自由詩509/4/19 3:05
自由詩309/4/16 21:06
初夏 そのようにとらえられない自由詩609/4/16 8:36
目薬自由詩4*09/4/14 22:59
桜の花はあまり好きじゃないが自由詩309/4/13 3:33
ひかりのことを、自由詩609/2/4 23:53
海の熱、鉄鋼の風自由詩12*09/2/4 0:07
よくわかんね。ねむい。自由詩3*09/1/31 0:16
錦繍自由詩8+*09/1/30 0:30
公園散文(批評 ...4*08/12/9 18:49
F ヶ丘自由詩708/12/9 1:38
mixjuice自由詩3*08/12/8 13:52
川沿いのベンチで甘すぎるコーヒーをのんでぼんやり自由詩2*08/12/8 13:19
1974年のオートバイ自由詩5*08/12/2 10:56
夏の収穫自由詩308/12/2 1:57
kimigasokoniirudakede自由詩5*08/11/25 12:47
冬の夜空の下で自由詩3*08/11/25 12:40
11月7日 メモならそれでいい自由詩2*08/11/8 1:10
熱と遺産の日自由詩808/11/5 12:39
さきっぽ自由詩708/10/24 11:39

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