真夏がはじまる
塔野夏子

雨のむこうから
無造作に青空
緑のつややかな木立の陰から
ほら 少年たちが
幾重にも幾重にも生まれてくるよ
君の髪を肩をすべるように
きらきら きらきら
光たちが降りこぼれるよ

逃げ水を追いかけ駆け抜けて
風の吹くあの白い展望台へ行こうよ
真夏のはじまりを
いっぱいに浴びようよ

いっぱいに透きとおって
いっぱいに輝いて
くるめくように 僕ら
まるで世界の天辺

ほら 少年たちが
幾重にも幾重にも飛びたってゆくよ
その行方を眩しそうに見つめている
君の横顔から
無造作に青空




自由詩 真夏がはじまる Copyright 塔野夏子 2009-07-27 11:25:20
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