F ヶ丘
水町綜助

  瑞々しさ

 かじかむ
 手があれは
 「かがやく町だったと言った
  なにごともない町並み
  を抜けてゆるやかに
  傾ぎながら地下鉄は春の
  空へ。出る駅前はぐるりといたるところに
  春の花いわゆる桜ってひねた物言いの、並木

 思わず、hellogoodbyeのあのどうしたらいいのか? と
 たずねてしまう
 ゆるやかな刻み、
  僕の中が
 なめらかなアルミ板の光沢なら
 それを裏側から叩いて
 叩いて 叩いて 温めて ぶったたくみたいな
 音階が上下するんだ
 この 匂いと一緒に

 流れ飛ぶバス バスの赤色と
 車窓をひらめかせては ひしゃげたひし形のこの
 うつくしい光の旋盤を
 投げて 僕をまだ見ぬ僕の、を
 心地よく切り裂き続ける速度が
 まして 僕の中身なら
 いくらだってひけらかせてやる君のめの
 前に
 ならどれだけ・歩くのさ
 大通りまででるか
 そしたら高速道路の高架が
 また
 激しい光をみせる その影を差し出すことでみせる
 僕は走り抜けるしか
 もうないよ
 信号機は点滅しか繰り返してない
 視界が
 まっっしろ

                    並木道」

  影だ
  鳥が覆い被さるように
  飛んだんだ
  でかい翼をひろげたところだ
  滑空のときだ

 渡りきったなら
 坂道があるから
 先がまぶしいだろ
 上までいけば
 目も慣れるんだ
 歩くうちに夏だ
 ほらみろやばい光だ
 またまっしろだよ
 とりかえし
 つかないね

 僕も
 君も
 白光にとばされて
 からだ無くせばいい
 その隙に駆けるから
 きみはぼうっとしてりゃいい
 そんでかげろうにうだって
 あついね
 あせ 流れるね
 八月 なのか

 あたまがくしゃくしゃだ
 もう
 君もくしゃくしゃのあたまに
 手もってやるからさ
 走れよ
 町 まだつづくから
 コンビニとか
 クリーニング屋とか
 コインランドリーとか
 回るから
 スポーツセンターも
 緑地も
 そのなかで
 空向いて
 ぐるぐる回りなよ
 緑色と青がするどさを持つ薄い光にかきまわされて
 見たことのない色が見えるし
 町の音 音 音も
 ミキサーにぶっ込まれて
 すごいはやさで骨を震わせるから
 もっと回りな
 倒れたら
 土がつめたくて
 いい匂いだ
 もうどうしたらいいんだ
 どこまでいきゃあの部屋に
 俺たちの うちに
 俺たちの うちは
 もう過ぎたって言うのか
 こんなに はっきりと 道を
 知っているのに?

 マーケット
  カーテン
  べらんだ
  たなごころ

 ゆれる
 坂道
 吐き捨てられた
 サイダー
 泡 あぶく
 七色の 油膜
 一匹の 在り
 くわえた 夏の日
 噛み砕いた 火
 とりあえずと 口にする 光 かがやき
 きのうが 明後日おわり
 きょうが あのひのはじまり
 だますこともなく
 ただすように
 めをみたい



自由詩 F ヶ丘 Copyright 水町綜助 2008-12-09 01:38:00
notebook Home 戻る  過去 未来