川沿いのベンチで甘すぎるコーヒーをのんでぼんやり
水町綜助

ビルと広葉樹に噛みつかれた空にほら

ペンキ屋が刷毛で雲をかいた

青い帽子をうしろにかぶって

僕はベンチに座って甘すぎるコーヒーを飲みながらそれを見てる

その下に川はとうとうと流れているよ

とても大きな川が

環状線から二気筒の音が転がってきて

そいつは橋の上で弾んで河に落っこちた

下弦の月を描きながら

あんまりいきおいよく落ちたものだからたくさんの水しぶきが上がって

僕はたくさん水を飲んでしまった

ぴちりぴちりと魚は跳ね回り

僕の中へと入ってくる

僕はのどが痛いんだってば

言ったって言葉になりゃしない

ピンクの魚は跳ね回り

僕の部屋では二匹の亀が首をすくめた

僕の目には涙があふれて

太陽はオレンジなモザイク

できそこないの貼り絵みたい

遠くのものなのによく見えないよ

僕はとても目が良いはずなのに

ほんとだよ


自由詩 川沿いのベンチで甘すぎるコーヒーをのんでぼんやり Copyright 水町綜助 2008-12-08 13:19:21
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