ワカバグモ (百蟲譜43)
佐々宝砂

自然の草の色に似ている。
たとえるなら稲科植物の
たとえばエノコログサの
淡くやさしい新芽の色。

人工的な色にも似ている。
たとえば小さなころ大切にしてた
プラスチックビーズのネックレスの
安っぽい半透明の緑。

指先に乗せると
八本の脚を丸めて
ちいちゃくなる。

そのままピアスにしちゃいたい。
ワカバグモのピアス。
どこにも売ってそうにない。



(未完詩集『百蟲譜』より)


自由詩 ワカバグモ (百蟲譜43) Copyright 佐々宝砂 2004-08-08 23:14:25
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
百蟲譜