さんまをやいて
りゅうのあくび

ことしも
うみのむこうから
かなうことのない
えんきょりれんあいのとちゅうで
ぐうぜんりょうしのあみにかかり
しょくたくへと
ぐちをこぼしにでも
やってきたはずなのに
あいさつもなく
めをあけたままで
ねむっているようにみえる
いっぴきのさんま

いしのなまえでいえば
おぱーるのような
すっきりとして
あでやかな
ぎんいろをしていた
こまかいうろこが
よるの
だいどころでは
にんげんのてによってともされた
あたたかいほのおで
じっくりとやけこがされて

においにつられて
いえのなかで
さっきまで
やんちゃにとびまわっていたねこが
ひだりうでにとらわれては
だいこんおろしには
めもくれずに
よこたわった
さんまにむかい
ぐるるるにゃーとないて
すきとおるこえは
あきのよぞらになる


自由詩 さんまをやいて Copyright りゅうのあくび 2008-10-03 22:44:42
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
猫詩集