気まぐれな嵐は
ときおり吹き荒れて
数え切れないほど
散り始める
桜の花びらが
舞い落ちては
ゆったりと流れる
どこかの運河の水面を
どこまでも薄紅色に
染めるように
この春は過ぎ ....
どんな日でも
廻り続ける
人生は
風車を巡る
羽根のように
日はめくるめく

時には
騎士道物語を
読みすぎて
本当と物語の
区別がわからない
竜騎士となって
大空に
翼を ....
ひとつの恋愛が始まると
いくつかの虫歯が
できてしまう

歯医者に行くのを
忘れてしまうこともあるけれども
夜中に眠る前に
歯磨きもせずに
お互いの話をすることに
夢中になってしまっ ....
最近
ユルキャラなる
年をとらないで
人気をとる
命が増殖して
時には人間よりも
元気に活躍している

ここでは新しい
ユルキャラを
企画したい
名前だけは
決まっている
 ....
二十歳になったばかり
一方的な失恋の末
浪人時代の
受験戦争に嫌気がさして
Cigaretteを吸い始めた

カリブ諸島原産のCigaretteは
大航海時代にコロンブスが
率いるアメ ....
彼女が突然
夜食にゆで卵を食べたいと云って
卵をふたつゆでた。
寝そべって
二人でひとつずつ食べながら、
話をする。

彼女には卵の黄身になってくれたら
僕は白身になって君を包みたいと ....
仕事が早めに
終わるときには
少しの安堵を抱くように
同棲は始まっていて
郵便局での仕事がおわって
晴れた日の夕暮に
実家から少し離れた
二人の住まいへと
自転車で走る

なぜか携 ....
夕立は突然やってきて
落雷で鉄道の
運行が遅れている
雨宿りをしながら
駅の改札口で彼女と
待ち合わせをしていて

たくさんの
雨粒のなかには
彼女の残像を映す
きっとひと粒の
 ....
ずいぶん遠くの砂浜には
朝方に打ち寄せる小さな流木が
たくさんありました。
きっと誰かの海辺の
記憶の果てにあるはずです。
どのぐらい時間をかけて
どこから来たのか
わかりません。

 ....
真夏の青空を
吸い込む
くちびるから
生まれる蝶の
羽根の色は
南太平洋の耀く
海の色よりは
ずっと淡く
抜けるような天空の
青空の色に近い

在りし日の情熱からは
傍らで誰か ....
きっと夏の晴れた日の朝には
水を求めて何処かの
乾いた草原で
遊牧民族が
馬や山羊たちとともに
次の場所へと
引越する支度をしている

地球の反対側とつながる
国境の意味が
なくな ....
前略

 朝食に納豆が出てくると君の少年時代のことをいつも思い出します。君は小学生のころ冷静なまなざしで、何についても黙々と何もしゃべらず、周りのことを常に察している性格でしたね。だからかなぜか、 ....
{引用=※この詩は或る詩の朗読会の
 招待状になっております。
 コメント・ポイントをいただいた方へ
 朗読会への企画案内のために私信にて
 お誘いをご送付いたします。
 なお、コメント・ポ ....
そこは場末の洋食屋ではなかった。
マスターは自家製のコンソメスープの
味を利きながら、笑みをこぼして
「イギリス海峡には初めて来たのかい?」と切り出す。

         {引用=
   ....
決して退屈なことではないのに
夜空の静寂は
孤独な人間の沈黙とも
全然違ったりする

恋をすることで
時間が過ぎてゆくのを忘れるとき
最近の彼女は欠伸をする
だから僕には
彼女の欠伸 ....
朝を告げる
鳥たちは
探してもまだどこにもいない
深い暗がりのなかを
どれぐらい永いのかもわからない
道のりを歩いてゆく

雨でもなく雪でもなく晴でもなく
どこにいるのかもわからずに
 ....
誰かの涙のように
なぜか理由もなく
寂しくなって
小雨は降っている

街灯の光りが
点かないうちに
晴れであれば
まだ夕陽の落ちた
跡がかすかに
残っているはずで

少し曇りか ....
休日のメガロポリスの朝
天空にぐっとくい込むように
コンクリート製の棘として
何本もの電柱が太陽の眩しさに突き刺さろうかと
悲しく立ち尽くしている
アパートの小さなテレビの天気予報は先月にな ....
人生というものは本来
純粋なものなのか
という素朴な問いに対して
年上の彼の立場としては
人生はかなりのものが不純物で
出来ているという話をしていたはずだった

ここに座って
潤してい ....
例えば人間の孤独な想いが
採れたばかりの
一粒のトマトだったとして
トマトにも生き甲斐ってものがあるので
想いには必ず相手があるように
朝も夜もトマトを待つ方が
必ずいらっしゃるでしょう
 ....
瞬きがまだ終わらないうちに
なくなってしまう
数知れぬ一秒にも
満たない想いがあるだろう
とは思うけれど

一瞬のあいだ瞬きをするうちに
恋の始まりはきっと
終わりのない愛になる

 ....
すくらんぶる交差点の信号機は
恋をする瞳の奥みたいに
ふと止まるときがある
いつか愛の記憶を出発する
終電を逃して
おしゃべりをしながら
取り残された恋人たちは
再びくちづけをする

 ....
つよいびるかぜを
さけながら
まちのきっさてんにはいる
ぶれんどこーひーに
くりーむを
とかしこんで
そそぎこむとちゅう
ふたりになって
はなしていた
おんなともだちの
けいたいで ....
峡谷を挟んで
街がまた一つ
大きな白い砂漠に
のみ込まれて
消えた報せ

夜空の向こうには
目が醒めるほど
白い砂漠の朝を待ちながら
砂粒は銀色に輝いて
すらりとした紺色の地平線へ ....
恋が恋とはわからずに
そう初恋と云う言葉
さえも知らなかった
少年の頃の焦がれる記憶は
小さな翼が
羽ばたいていく
軌跡のような
鳥たちの
とても切ない
ぬくもりみたいに
少女の小 ....
ゆらりとそよいだ
黒髪は
涼しい黄昏に
やや雑駁な面持ちで
暗がりの多くなった細い
路地の景色を
夕陽と連れ添うようにして
揺らいでいる
ひんやりとした西方にある
最果ての夜空より
 ....
ことしも
うみのむこうから
かなうことのない
えんきょりれんあいのとちゅうで
ぐうぜんりょうしのあみにかかり
しょくたくへと
ぐちをこぼしにでも
やってきたはずなのに
あいさつもなく
 ....
耳の周りや頬の近くやらを
冷たく刻み込むような
秋の驟雨が染み込む
家路を逝く靴音には
永い冬の訪れを
哀しむようにして
静かにアスファルトを
夜空よりも黒い色に変えてゆく

 *
 ....
ところで、幻聴と云う、一風変わった立ち振る舞いをする声のことを皆さんはご存知だろうか。

僕はそれが聴こえる方の人間である。いつからかというと十九歳のときに聴こえ始めた。そのちょうど2年前 ....
例えば
それが昨日と云う日
であったとしても
恋心を想って
もう通り過ぎたはずの
初恋の儚いだけの記憶が
ほんの微かに
胸の中へと
染み込んでいるみたいに
ふと傍らにいる

ちょ ....
りゅうのあくび(146)
タイトル カテゴリ Point 日付
小さな春のタチェット[group]自由詩17*14/4/30 21:58
家族がもうひとつできれば自由詩3*13/11/3 0:19
虫歯と恋愛の関係[group]自由詩11*13/10/11 20:54
ユルキャラを企画してみる[group]自由詩11*13/10/3 16:13
Cigaretteが消していく未来と命[group]自由詩8*13/9/26 4:51
月を食む夢をみる鳥[group]自由詩11*13/9/21 6:48
夕食はサラダスパゲティ[group]自由詩2*13/9/14 9:29
一瞬と永遠はとても似ている[group]自由詩8*13/8/21 19:25
海辺の夜空に小さな灯かりがきらめいて[group]自由詩7*13/7/14 18:16
蝶はくちびるから生まれる[group]自由詩11*13/7/9 19:15
ジャックされた夏の断片自由詩7*13/6/29 14:50
納豆への手紙[group]自由詩5*13/6/23 16:27
浜辺の朗読会への招待状[group]自由詩8*13/6/18 17:50
Restaurant Saint Malo[group]自由詩4*13/6/16 1:50
くちづけ[group]自由詩10*13/6/14 19:55
足あとⅢ—夢の中で—[group]自由詩1*13/6/12 21:46
足あとⅡ—十字路を曲がってから—[group]自由詩2*13/6/12 20:12
初夏[group]自由詩10*13/6/8 12:35
或るコーヒーテーブルの傍らで[group]自由詩7*13/6/7 22:10
PostingTomatoReturnUnkwon[group]自由詩5*13/6/6 18:05
恋と愛のあいだの何秒か[group]自由詩7*13/6/1 11:26
眠ることのない恋の街のなかで[group]自由詩4*09/10/15 21:08
ゆきむし[group]自由詩8*08/11/4 23:36
白い砂漠に恋する夜明け[group]自由詩4*08/10/27 20:26
初恋の記憶[group]自由詩6*08/10/13 19:27
変身[group]自由詩3*08/10/9 18:03
さんまをやいて[group]自由詩9*08/10/3 22:44
弟と驟雨と鯉[group]自由詩3*08/9/30 21:21
【心理学批評】幻聴論散文(批評 ...3*08/9/22 20:25
透きとおったラヴレターを携えて[group]自由詩6*08/8/25 21:22

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