宝石
木屋 亞万

石をもらった
偏平な石だ
大切にしなさいと言われ
私は闇にある箱の中へ
しまっておいた

自分でも指の感覚でしか
わからないその箱は
誰もたどり着けない
闇に眠る宝箱だった

石は緑がかった灰色で
私には見えない緑だった
光の具合によって
かすかに緑を感じた
透明感のない
不純物だらけの石ころ

辛いことがあったら
薄い階層構造に触れ
石に熱を静めてもらう
冷たさが受容してくれ
温もりへ変えていく

石は
いつだって固いままで
いつだって同じかたちで
いつだって微かに緑で
涙は染みとして残り
弾かず乾かず濡れたまま

 空気のような光のような
 擦り抜け、触れられない
 存在に憧れてはいけません
 削れても砕けても抵抗する
 偏平な石になりなさい

いつか石への価値が
光の擦り抜けて輝く
金剛石に揺るがないよう
私は闇の箱の中で
大切に宝石を保存している
宝言と一緒に


自由詩 宝石 Copyright 木屋 亞万 2008-08-16 01:36:44
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