海に続く道へは、もう
たりぽん(大理 奔)
( 駅を降りてあなたに会いに行く
草切れだらけの細い道を )
石に刻まれた文字は失っている
それは削り取られた石屑の体積
こなごなに飛散した言葉の
名残のように鋭く尖って傷付ける
指でなぞって確かめる
失われたものの名残が
そのうつろが文字だと
かつて流したもの、たどるように
ずっとずっと、ずっと
指でなぞって確かめる
失っていないその温もり
いつか刻むかもしれない名前も
この僕が奪って
もういちど
最後にひとまわりして
二度と失わないために
この場所を忘れる
なぞった人差し指
手のひらに包み込んで行こう
( あの頃、大きな犬が寝ていた
茶色い家を左に曲がると道は
海にむかってひらけている )
自由詩
海に続く道へは、もう
Copyright
たりぽん(大理 奔)
2008-04-27 00:10:37
縦