そして僕はもう一つの窓を開ける
たりぽん(大理 奔)

記されないように
ささやく言葉が
ブランコを揺らすから
さがしている
鎖のゆがむところを
あなたの手が
握りしめている場所だ

   視線がある、猫の
   滑り台の上で
   力なくにゃあと鳴き
   トタン屋根の剥がれそうな
   きしみにも驚いて
   ふるえる

それが僕の腕ならば
体温まで感じるはずなのに
伝わらないよう
ささやかれる言葉は
やはり聞こえないから
真夜中の影
シーソーを渡っていく

   伝えたくて線刻する
   声ではなく言葉
   砂にみた名前を
   猫が呼び鳴き
   凍えるようにふるえ

その風景はもういい
何度も額縁を替えたけど
ブランコは同じ角度で
、揺れる
もういいだろう

そして僕はもう一つの



自由詩 そして僕はもう一つの窓を開ける Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-04-25 01:12:07
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