出張帰りのいつもの近道
車を走らせると道は
その先で
星空に切り取られる
そこが星越峠
たどるたびに
僕は宇宙から帰還する

    会えない夜は輪郭を想う
    あなたのかたちが ....
さかなになって
星を見つめる夢を見る
波打つ界面のもっと上に
潜る深海を見る

手をのばすと
満たされない世界を掴む
息苦しい自由と屈折率
さかなのうちゅうに
虹はない

夜 ....
木漏れ日を、流星だと言う
夜空だけのものではないよと
青空に引く、軌跡を追い
それはいつのまにか笑顔に重なる

視線
漏れ出した輝きは燃え尽きる星じゃない
鍵盤を叩いたときにできる段差が ....
街を濡らす雨
叩いているか
あらゆるリズムで
冷たい夜半
霧雨を縫って歩く野良犬
おまえは傘
あらゆる名前を拒んだ空との境界
捨て去ってもその姿に
切り抜かれた水溜まり

この皮膚 ....
世界が生まれて消えるまで
それをはかる時ならばいらない
、どこまでいっても自分
それを刻む鼓動の美しい機械に

     {ルビ内燃機関=エンジン}
    {ルビ回転速度計=タコメーター ....
枕木の間に蒔かれた砕石
それぞれの名前は知らない
久しぶりに訪れた東京のそれ
が、今日の、そしていつもの。

「思い出せない」ということを「忘れてしまう」と言うらしい
だから「知らないまま ....
楽器を操る人から
音楽が聞こえてくる
ジャンルを語る人から
うたが聞こえない
欲しいものはなにかの名前
なんかじゃない

   百科事典が世界を壊していく
   たとえば民族
    ....
酒のつまみに
キュウリを切る
塩で喰う
少しこしょうも振る

まな板からキュウリが
ひとかけら床に落ちる
キッチンマットの上で
転がったキュウリを
そっと拾い上げる

これをゴミ ....
 
知らないことが多すぎるけど
それは知りたい事じゃない

空が青いときは
 夜の暗さを忘れるように
  星空を見上げるときは
   雲の形を忘れるように
    二人はずれていく、す ....
さあいよいよ
螢の季節が近づいて
探し始めるのです
はかなく綺麗なものを
風景に重ねたいと
螢を狩る人が
暗闇にうごめくのです

もうそっとしておきませんか
いのちの営みの輝きは
 ....
なくしてしまったものが
消えてしまうわけではない
わたしのものでなくなっても
世界には全部ある

つまりそれは
みんなのものだけど
わたしものじゃない
すべてを知ろうとして
百科 ....
ひどく深い山奥に
その百貨店は建っていた
百貨店といっても実際にはよろずやで
それでも、食料品から最新のテレビまで
なんでも売っているのだ

ダムが出来ると
集落のすぐしたまで水面になる ....
シャッターを切るよう
指で切り抜く仕草

ゆっくりと人差し指で
黄金比率を探してみる

無数の頂点を結んでいくと
地球の作り方がわかる

とどめられないものだから
測ろうとするけど ....
お囃子の笛と太鼓で空腹だ

手をつなぐと、焼きそばが食べたくなる


{画像=080517220430.jpg}
  (カワセミ!カワセミ!)

木々の重なりの一番深く
真っ暗な沢の灌木で小さな光を見つける
ポストの底に忘れ去られた手紙のように
思い出せないのに忘れられない
ちいさな鳥の形を
手 ....
海岸線のガードレールでもなく
尾根を越えていく高圧線でもない
届こうとするものは
いつも不完全で ただ
どこか、まで続いていく

アルシオネの円周でも
火星が結ぶ軌道でもない
繰り返す ....
真昼の砂丘では
犬の足跡と鳥の足跡が交差する
風紋が途絶えても
波が伴奏を続けているね
うねっているね

時折、後ろの足跡が
前足の足跡を追い越していく
鳥の足跡が見えなくなる
あの ....
 夜の駅前広場でブレイクダンスの練習をする若者達。私の住む地方都市のいちばん大きな駅での風景です。以前はエントランス外側のガラス面を鏡代わりにしていたのだが、よくわからない理由で排除されてしまいました .... ( 駅を降りてあなたに会いに行く
  草切れだらけの細い道を )


石に刻まれた文字は失っている
それは削り取られた石屑の体積
こなごなに飛散した言葉の
名残のように鋭く尖って傷付ける ....
記されないように
ささやく言葉が
ブランコを揺らすから
さがしている
鎖のゆがむところを
あなたの手が
握りしめている場所だ

   視線がある、猫の
   滑り台の上で
   力 ....
真昼の星座のように
記憶の中で物語を紡ぐ
思い出せるだけの登場人物が
いつも同じ台詞
終幕はいつも引かれないまま
あきらめきったような時報で
私の視線は花壇に戻る

鬱金香、まっすぐだ ....
{引用=
物語を読むように
音楽を聴くように
写真を撮るように
素描を描くように

きっと、一番大切な時間を
いつも過ごしていたい}
A点がわからない
{引用=
シャッターを押すよ ....
猛禽がやたら低く飛んでるな

  なのはなにしずかなあめ
  なのはなにしずかなかぜ

桜の花びらに埋もれた
側溝のたんぽぽ

   散って舞う風流よりも
   舞って発つ、汚れても ....
僕の暗がりに
三十四回目の月が生まれ変わる
前世も月だ、その前世も

それを証明するために
この手は螢石をみがく
やがて銀河の形の指輪を飾るために

暗がりの天蓋がひと巡りする
シリ ....
そらの隙間
を、埋めようとして

   春に吹けば花を
   夏に吹けば草切れを

僕の僅かな体温で
そらのどこかに隙間ができて
そのどこかをえいえんに
、さがしつづけ

    ....
去年の落葉のように
毛布にくるまって待つ
それが前夜、という夜

  篝火はひどく電気仕掛けで
  ひとりぼっちな自己主張
  もう永遠はいらないから
  あなたを灼きながら、焦がれたい ....
夜、鏡の窓に
映るサイレントモード・シグナル

予感、といえばやさしく
明滅が灯台のように思えて

クッションでそっと隠す流れ星
夜明けまでそれはひらかない


眠るふりをして ....
二十代の頃。駅を出てパチンコ屋の横をすり抜け、剣池へと続く緩い坂道の途中の小さな倉庫で働いていました。昼はお皿だけおしゃれなお好み焼き屋とか、ちっぽけな食品スーパーのお総菜とか。定期券を使って駅の中に .... 本当の姿を毛布に絡めて
誰にも知られないための夜が
いつも通りに朝にむかっていく

眠れない時には{ルビ主電源=ブレーカー}を落とし
遮光カーテンが
偽物の夜景から部屋を隠す
欲しいのは ....
弾けもしないのに
ギターを手に入れたのは
歌いたかったわけじゃない
きりりと張られた弦を
掻き切りたかっただけ

切る、
鋭く傷つくだろう
僕たちは

   その境界はほんとうです ....
たりぽん(大理 奔)(550)
タイトル カテゴリ Point 日付
「星越峠」[group]自由詩5*08/7/9 23:36
波打ちぎわで眠れない夜に自由詩708/6/29 1:24
真昼の軌跡、描いて自由詩1208/6/26 0:37
今日を雨は濡らして自由詩508/6/22 21:51
Tourbillon Escapement自由詩7*08/6/18 1:10
駅・品川にて[group]自由詩6*08/6/15 1:07
あなたは分類、されてしまった自由詩16*08/6/8 1:22
つまみの法則自由詩4*08/6/3 23:06
ある断層について自由詩12*08/6/1 0:25
螢棲む暗闇に自由詩8*08/5/28 22:43
せかいにはぜんぶ自由詩708/5/26 1:01
あのポスト ( 2008 )自由詩18*08/5/24 18:31
ぼくのつくりかた自由詩708/5/21 1:02
祭りの夜に今日は終わらない自由詩308/5/17 22:12
夜想曲( reverse )自由詩10*08/5/11 1:37
ツォルキン・ステップ[group]自由詩20+*08/5/6 0:49
(交差する浜辺で途絶えても)自由詩7*08/5/3 3:26
彼らが自由に踊るとき散文(批評 ...1*08/4/30 0:14
海に続く道へは、もう自由詩408/4/27 0:10
そして僕はもう一つの窓を開ける自由詩308/4/25 1:12
あしたへの、かえりみち自由詩708/4/22 23:30
A-B Repeat自由詩408/4/20 9:56
かえりみちで空をみたんだ[group]自由詩708/4/16 23:37
アポロ・シンドローム[group]自由詩708/4/15 23:46
そらのすきま[group]自由詩9*08/4/13 15:23
前夜自由詩3*08/4/10 23:04
サイレントモード・シグナル[group]自由詩208/4/9 0:22
駅・橿原[group]自由詩2*08/4/8 1:10
朝、また あさが来る自由詩608/4/6 23:09
国境自由詩708/4/1 23:34

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 
0.11sec.