あしたへの、かえりみち
たりぽん(大理 奔)

真昼の星座のように
記憶の中で物語を紡ぐ
思い出せるだけの登場人物が
いつも同じ台詞
終幕はいつも引かれないまま
あきらめきったような時報で
私の視線は花壇に戻る

鬱金香、まっすぐだね

そこにあるはずの
はくちょう座にむかって
背伸びすると
本当の物語を進む影を踏む

鬱金香、もういいね
僕たちは金魚だったし、星座だった
でももう地上に戻る季節だ
せめて雨の降ったあとには
歩んだ轍に水が残って
青い空を映す鏡になればいい
風が吹いたら、ちらちらと
あかやきいろの君を映して
そうすれば、幸せそうな淋しさで
螢の季節を待てるよ

今度は違う台詞で
傘をまわしながら
螢の季節を




自由詩 あしたへの、かえりみち Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-04-22 23:30:39
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