古事記
あおば

        080326


懐中時計の
くさりです

懐中時計の
うらぶたに
小さな
値札をはり付けて
昨日の
価格を書き入れる

古道具の店先に
禿げた頭が
突っ立って
懐中時計をとりあげて
針の動きを盗み見る
禿の頭は強欲で
明日の価格を知りながら
今日の価格を下げさせた
恥ずかしいのも知らないで

懐中時計も怒り出す
禿げた頭をたたき割り
流れる血潮で床掃除
ピカピカ光る木の床で
ルンバを踊るお人形
黒い目をしたよい子たち
時計のねじを巻きながら
古いリズムを楽しんだ



自由詩 古事記 Copyright あおば 2008-03-26 04:35:54
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