緑色
あおば


         080325

黄緑色の話し声がする
黄色い声をたしなめるように
大きな顔した男の声がして
電車の中は静まりかえり
黙々とメールを読んだりする
帰り道の通せんぼは
一人だけの色仕掛けに似て
不道徳だの
公衆衛生だの
氷枕だのと
古くさい台詞を跨ぐ
私鉄電車の茶色の背中に
ランドセルに追い払われて
消えてしまった肩掛けのズックカバンが
ずり落ちそうになっているのを見ながら
緑色の電車に乗り換える


自由詩 緑色 Copyright あおば 2008-03-25 01:46:08
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