エンプティ
田島オスカー

そっと絡めた指が
恐ろしく美しかったのを
僕はまだ 瞳の奥に覚えている

隠し切れなかった愛おしさを
君の 綺麗な指からも感じていた

掴んで 離さなかったのは
その手がどこか
知らないところへ
行ってしまいそうだったからで
あの時の恥ずかしさが今も
僕を 内側から揺さ振る

ねえ君は
その指先を
僕に向けることは もう無いけれど
その優しさと美しさを僕に
分け与えてくれれば 良かったのに

絡めた指の 冷たさを
あの綺麗な冷たさを
未だ覚えている
僕は この無骨な手のひらに

 


自由詩 エンプティ Copyright 田島オスカー 2004-06-30 01:33:21
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