砂の上のメッセージ
田島オスカー


そういえば
あの時のささやかな想いを
いまだ遂げられない僕でも 君は 
素敵よ と言ったね

パラソルは今日も色褪せている
一番褪せて見えるのは
あの時も今も黄色で
太陽は 似た色を嫌うのね
君が言っていたように
天を仰いでボソリと言ってみる

あたし
つかまれていなければ
きっとどこかに流れてしまうから
だからあたしの事を
誰も愛してくれないのかしら

貴方も あたしを掴んでおいてはくれないでしょう?
潤やかに それでもニコリと笑った
その君の笑顔は確かに
まるで流木のようで 掴み所など無かった

ねえ 覚えている?
あの頃のあたしたちの
何も気にしなかった笑い方や
走り去っていくときの胸の高鳴り方
波打ち際の無駄なグラデーションに
何故か泣きそうになった事や
もうこれっきりっていうくらい 見つめ合ったこと

忘れないでね あたしはまた流れていくけれど
きっと戻ってこれるわ
地球は丸いし 海は繋がっているのだし
ねえきっと戻ってくるわ

忘れないでね



自由詩 砂の上のメッセージ Copyright 田島オスカー 2004-06-22 22:04:48
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