乾電池
あおば

                 080215


使えなくなった乾電池

屋根の上に放り投げ
お日さまの光に曝し
もう一度電気を作らせる
屋根の上の太陽電池
馴れた作業を推し進め
口数少なく無愛想
手足を伸ばして転がって
お腹に電気を蓄える
コツなんかなにもありません
薄暗くなると
マッチ売りの少女を口説きに行った

マッチ売りの少女も使えない乾電池は嫌いです
乾電池を使っては屋根の上に放り上げ
お日さまの助けを借りて
カラカラの乾電池にしてしまう

乾されてカラカラになった乾電池
こころの中までカラカラになり
使えなくなった乾電池
屋根の上に転がって
一日中
誰にでも公平な
お日さまに
照らされて
身体中が熱くなって
耐えきれないのに
ガマンにガマンを重ね
ほんの少しだけ残っていた電気を
使い果たしてしまい
どんどん溜まる使えなくなった乾電池
屋根が腐るまで空の重さに耐えているが
少しだけ青い顔をしている




自由詩 乾電池 Copyright あおば 2008-02-15 09:01:56
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