癇癪(かんしゃく)ガール
あおば

                  08/02/16




癇とは幼児の引きつけのことと聞く
引きつけとはどのようなものか
金縛りのように身体の自由が利かないものらしい
熱による身心の反応なのだろうと思うのだが
体験したことがないのでよく分からない

幼いときの母はよく引きつけを起こしたそうで
最後は小学3年生の時で、その様を聞く
奔流に脚を吸い込まれる、目がぐるぐる回る恐ろしい感覚に、思わず、タスケテ、タスケテと叫んだそうだが、もちろんその声は外には聞こえない、本人がそう感じただけらしい。

癪(国字)とは胃けいれんのことらしい、激しくさしこむ痛みに思わず道端に蹲り、通りがかりのご隠居の印籠を当てにする妖怪のように美しい女の姿態に見覚えがないとはいわせない。

回転する者はすべて目を回して倒れる
かんしゃくを起こした幼児は地べたをぐるぐる回り、這いまわり、制御不能のロボットのように金切り声を立てて泣きわめき、こころの安定性を図るのか
かどうかの
試みを
かどうかの
感覚が
現在と過去未来とでは異なるのか
一過性の疾病と片づけるだけの
度胸を持たない
「かどうかの」
金銭感覚
みたらし団子は
食べるものではなくて
お供えして身を払うものだったと聞くが

(味がよいから
(よく売れるでしょ
(そうではないでしょ
(もったいないから
(味をよくしてたれ付けて
(お持ち帰りを願うようになったんでしょ

みたらし団子の味は
一度食べると忘れられない
まろやかで
優しく
ひとくちで五回も味わえる
うーん
おいしいと
満足するまで
味わえる
「かどうか」の教えがしみ込んだ
みたらし団子の味は
かんしゃく玉のこころざしを芯に据えてあるから
かどうかどうか
食べ過ぎると胃けいれんになる恐れがあるかもしれません

冗談を言いながら販促ロボットは道行く人に話しかけておりまし
た。




自由詩 癇癪(かんしゃく)ガール Copyright あおば 2008-02-16 00:29:42
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