ループ
チアーヌ


家の前の道路はアスファルトで覆われていなかった
雨が降ると水たまりが出来て
長靴で入って行って遊んだ
夏の前

学校を休むと
斜め隣に住む同級生が
授業の内容を四つ折りにした白い紙に書いて
持って来てくれた
わたしは
遊びたかったけど
その子はいつも
すぐに帰ってしまった

寂しかった

ここでわたしは置いて行かれてしまって
どこにも行けないような気がしていた
周囲を山に囲まれた土地では
繋がっている場所が見えない

世界は分けられていた

流れてくる小川の水の中に
ハヤがいた
つるつるすべるように泳ぐ
光を受けると銀色に輝いた

小川の途中を塞き止めて
小さな池を作った
泥の中に足を入れたまま
腹の赤いイモリを取った

何度も何度も掬った
日が暮れるまで



日が暮れるまで




鬱陶しい髪をゴムで縛り
わたしは静かに入浴する
何度も何度も
洗っても洗っても
上手く汚れが落ちない
髪を洗う
体を洗う
どこまで擦ればいいのか
どこまで削ればいいのか

もう何も

見えない



自由詩 ループ Copyright チアーヌ 2008-01-09 00:01:22
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