アットホーム症候群
田島オスカー



朝の気だるさに風が吹いた
驚いたことに 涙は 出ない
哀しいはずだった 私はいつの日も 常に
夜のかなしみは 朝には 薄くなっていく
主人公には なれずにいた

母がふ、と呟きそうになって
慌てるふうもなくやめてしまった
何故か そこで初めて涙をこぼしそうになって
大丈夫なのだろうか、と思った

気だるさに泣かされて 泣かされて
知らぬうちにこぼした涙に 溺れるつもりだったのに
自分を支配するのは かなしみでなければいけなかったのに
ただの気だるさに幸せを感じて
心を許してしまえば もう負けてしまいそうだ

 


自由詩 アットホーム症候群 Copyright 田島オスカー 2004-04-29 22:35:40
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