うらがえしのヒーロー(水中を真似て)
ねろ

泡と塗れる事に嘯き覚えて
僕が去っていった日曜日に
汚れた流線型が降り積もる肌に
華奢なライン真似て空が繋いでいく

プラスチックみたいなリズム
音がまねて吐き出す雲の中で
わずかな音はしのび足でかくれんぼ

水中を真似ろ、水中を真似ろ、

南口から降りる地下通路では
あおみどりの風が吹き抜けていく
ゆびを失くしたのは誰ですか?
意味もなく滲んでいく質問と
裏返しの感情はぬいしろだらけで
人と擦れ合う度にチクチクする

今日は食卓並べてパーティだよ
ブーツだってかかとの取れたパンプスだって
オードブルに出てくるんだ

水中を真似ろ、水中を真似ろ

僕を裏返したのは何かと考える

不思議と連れ出す七曜日の朝
何故か遠いところに行くのに限って徒歩だったり
君の家の郵便受けに手紙を投函する日は
水曜日だったりするのは僕ら
次に肌を纏う時には違うチョッキを身につけるからで
揺れる睫毛の背には眠るように眠るように
つめたくなったこぶの花を抱いて歩いていく

見えるかい?
いくつもの掌が夜空にのびてゆくのが
君の目にうつる僕の片目は左利き
まるで顔からはみ出しそうになっている
それは青とかじゃないコバルトブルーだよ
だから僕はもう僕でもないことを
知らせる鳥が来ることが必要だし
また望んだりもしていることを

何者でもないことなんて失くしてしまえよ

霧雨みたいに君の首が降る
その中でひたすら意識する
ちぎれてゆくものとそうでないもの
百日後のゆううつ日よりは長く
気になって窓枠をいじっている

袖のゆるさを気にしながら
口から気泡を出す女の子は
12ヶ月後へと帰っていった
僕が去ったのをえらく気にしながら

水中を真似ろ 水中を真似ろ

最大の浸透圧をうけながら
僕らは地上人だと騙されたままで





未詩・独白 うらがえしのヒーロー(水中を真似て) Copyright ねろ 2007-03-31 18:46:38
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