マーブル(混ざっていく音)
ねろ

右手を知っているかい?
隠された左手の独り言はまた隠され

君と問う

耳に手に振り撒いた残骸を握り締めて立つことなんかを
女の子はついに目をつぶったきりろくに返さないことなんかを

僕は時にひとりよがりで
とんでもなくマーブル模様なんだ

チョコの匂いがする、とだけ君は言った

耳に手に振り撒いた残骸を握り締めて立つことなんかを
女の子はついに目をつぶったきりろくに返さないことなんかを

プラットホームで君と待つ時
なんでもなく深く抉って行く金属音

昨日に満たされた足跡が僕を掬っていく
気付いたのはそこに雨粒が溜まる音とかすかな匂い
僕は急いで服を裏返して電車の中を歩いて家まで帰った


林檎をかじったカピバラがゆっくりと明日をつれて来る

そのとき僕は横を向く練習をしないではいられなかった程だった
横にははいつだって青がくだらなくいかれているから

夜明けまでは半径5mあるから誰も知らない靴を履いて行く
その中心で僕は靴を飛ばして今日にあるくちいさな猫を抱いたまま
               
耳に手に振り撒いた残骸を握り締めて立つことなんかを
女の子はついに目をつぶったきりろくに返さないことなんかを

右手は隠れたつもりで左手に耳うつ
左手はそれをにぎって次の一秒に結ぶ

僕はやけにふやけている方だ

次のまばたきなら何処へでも行ける
君の好きな街のポスターを見ている

まるでむせかえる

   むせかえる

   むせかえるような日常

右手を賭けるあやうさなんかとか
左手を返させることに夢中になって

チョコレートの匂いがする、と君が言った

だらり、とよだれをアスファルトにたらしながら

あいだに、あいだにかわす女の子
あいだに、あいだにかわす女の子



未詩・独白 マーブル(混ざっていく音) Copyright ねろ 2007-03-28 10:49:20
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