冬虫夏草
クローバー

気が付くと
左肩に冬虫夏花がはえていた
ひっこ抜こうにも
ずいぶん深く根が張っているみたいで
ひっぱると肩が痛い
しかたないなぁ、一緒に行きましょうか

はやしたまま、会社へ向かうと
家に置いて来い!
と、部長に怒られた
冬虫夏草でして、もう、肩から取れないみたいなんです
夏までの付き合いになると思います
ので、それまでは、仲良くしてやってください
と、言うと、わかってもらえたようで
窓際の席を案内していただけました
さすが部長です
日が良く当たりますもんね

仕事から帰るとシャワーを浴びたくてしょうがなかった
浴び終えると、眠くなってすぐに寝た
夢をみた
大木になって何万羽という鳥たちを抱えている夢だった
暖かくて、くすぐったい
穏やかな気持ちでいると
急に全ての鳥がいっせいに鳴きだした
耳が壊れそうだと思ったら
目覚まし時計が、鳴っていた

よし、じゃあ、そろそろ、行きましょうか
左肩あたりを優しくなでて
僕は今日も、日当たりのいい会社へ向かう。


未詩・独白 冬虫夏草 Copyright クローバー 2004-04-22 01:13:46
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