鞘
大覚アキラ
おれは
ふにゃふにゃの魂を
強靭な鞘で守る方法を
身につけたおかげで
狂うということから
とても遠いところにいるよ
そして
なんといっても自由だ
今にも背中から
翼が生えてきそうなほど自由だ
怖いほどに自由だ
それを証明するためにも
明日
朝ごはんを食べたら
どこかに行こうと思う
洗いかけの皿や
山積みの仕事を放り出して
どこか遠くへ飛んで行こう
ぜんぶ捨てて
なにもかも捨てて
強靭な鞘に守られた
ふにゃふにゃの魂だけを
胸の真ん中あたりに
大切にしまいこんで
自由詩
鞘
Copyright
大覚アキラ
2007-02-26 12:49:31