すべてのおすすめ
はずれるとき
音はただしい
はじめからはずれていた
輪は閉じていた
幾たびもはずれながら
いちいち動じている
しかしながら
はずれるとき
あきらめはもう終わっている
そし ....
穴を
かたっぱしから
うめたてて
苦情をうけて
またあけた
あたらしい穴は
みたり、つかったりするには
すこしあたらしすぎる
ふるい穴は
ひとつだけかくしてあるので
死んだ ....
食べ終えたからだには
波のあと
後ろ手に作曲したふたりは朝を拒んで
花は咲かない 実もならない
良い香りがするわけでもない
冬がくれば死んでしまう草みたいに
あるかなしかの根をから ....
天使の絵をくれた
女の子は
七年たって
三度堕胎を経験している
嫌いな子の
上履きをなげすてたあの子は
ふたり目の女の子を妊娠している
あかい眼鏡をかけていたあの子とか
いつも違う ....
プールをつくった
朝 手をどろどろにして
四角く つめたい プールをつくった
君を浮かべる想像をする
想像のなかで
君は元気に死んでいる
小鳥にパンを投げてやる
あるかなしかのわずかのくちばしのために
この子らはやすやすと川をこえるのに
わたしはまだその手前で積木をしている
みつめあって
死んで
いきかえって
みつめる
なんども
おんなじに
すりへって
どうしようもなく
さびしかった
それだけで
ひとを
好くことができた
あんなに
穴 ....
ぽくぽくした睡眠のあいだに怒りを差し込ん
で、いるので、起きると朝の世界は、わたしに背を向
けているのだ。それで、コカ・コーラを買って、咳止めシロッ
プ、風邪薬、湿布などを買い、ビルをななめ ....
みんなの寝しずまるのを待って
腕をきるので
みんな寝ない
みんなの起きるのを見はからって
眠りにはいるので
みんな起きない
だんだんできてゆく
柵のそと側へのがれてみると
そこはぐるぐ ....
泣いてばかりいる子どもだったんだけど
気づいたら大人の部類になっていて
それでも泣いていたら知らないひとにバカにされたので
思い切って殺しました
それからやっぱりこわくて泣いていたら
大丈夫 ....
雨の日をえらんで走ってきた
すこしでも跡がつくように
それでも
あなたが
まばたきをするだけで
世界はすっかり乾いてしまう
絵筆に水をあたえているあいだに
なに色を使おうとしたのか
もうわからなくなっていました
あれから
もうずっと水で描いています
びしょびしょの画用紙が
いつまでもしぶとく破れない
....
名まえのもとに咲く花があるだろうか ことばからはじまる思想があるだろうか
槐、槐 蜂は最初からしっていた こぼれる密の甘さを
槐、アカシア 隣り合っても争わず
咲く白と黄色の狭間に立ってみれば ....
春の三時は直角 直角チョコレート 食べると飛ぶ猫 まる三角は頂点 ちょっと折れたチョコレート食べると青い 冷蔵庫 草原のかたまり 驚いた 三時は直角 踊った三角は頂点ちょっと滑る 男の子 草原は ....
ねそべるだけが得意の女の子に
バタクリームいっぱいのせて窒息
させたいできれば
僕には愛はないが憎悪がある
草木がそだつすこやかさを穿つ雨みたいな
裏がえって粟だった憎悪だから
女 ....
ちょうど百年まえにも
こんな日があったね
うす暗い部屋に
暴力的な光がとびちって
あなたの背中から
夜が逃げていく
どんなふうに笑ったら
夜は戻ってくるだろうか
あなた ....
縦や斜めや裏返しにわたしの体がぎっこんばったんやられているあのときに決意しました。わたしはたぶんわたしではなかったです。黄色いのや赤いのは好いです、青いのも緑のも好いです、白と黒も好いです。ただし ....
さくらも雪柳もなんだってああもこぼれるように咲くんだろう。
かたわらでぼとぼと落ちている椿の鮮やかに腐れるさま。
きょうも海が見えている。花曇り、ぼうやりとした稜線。
手を閉じたり開いたりし ....
二等辺三角形をすべり降りるとき
君はまよわず左を選ぶだろう
ひと息つくときにはかならず右肩をもたせ掛けるくせがあるから
そうとは気づいていないかもしれないけれど
すでに君とは出会っている
....
風のつよい日
からだたちは直立してなびかない
たくさんの
「愛している」たちが汚れている
雑音に足を濡らして
からだたちはやっと
死ぬことにした
それでしか乾く術がないの ....
日が落ちたら
手をつないで出かけよう
この世のきれいなものはみんなだれかのもの
まだだれのものにもなっていない一日を
この世でいちばんさいしょにみて
それを宝物みたいに抱いて別れよう
....
いち日にひと粒と決めた涙たち 青ざめている731粒
あなたはもう
星をたべるのをあきらめて
だんだん肌がふやけるのも厭わずに
プラスチックばかりたべている
みずうみ一面にふやけたあなたの胸のあたりに乗っかって
見あげたらビスケットのた ....
甘いお菓子をあげよう と
つれてこられた壁のうち側には
びっしりと塩の結晶が生えている
塩をなめながら
つま先だちでのぞいたそと側では
こちらと同じように
塩辛い結晶がきらきらとか ....
猫が転ぶとき
そこには道路と猫とわたしがあって
あたかもおのおの一番遠いもの同士のよう
二月にふる雪はぴらぴらとして細かく
手のひらにのせるまもなくとけ消えてしまう
ひとひらひとひら ....
腰のつけ根あたり
すこしくぼんだところへ
くちづけが残ってしまって
あなたのことばかり考えている
雨だれが石を穿つように
すこしずつ気持はこぼれて
いつかこの星を壊すだろう
見た夢に
番号をふって
箱へ入れる
立てない猫
走れない鳥
指のない犬
それらを
あれは何番目
だったかしら
わたしを蹴り上げる
ひかるくるぶし
何番目
だった ....
昼には昼の顔をして
月など知らない振る舞いを
夜には夜の服を着て
海にさからう泳ぎかた
明日には明日の「今日」が来て
なかったことなど無いように
青々とした朝が降る
いいよ
わからないでいてあげる
まつ毛の角度や
飲み干されなかったコーヒー
長いまま燃えつきる煙草
いつもと違う靴
あたらしいゲーム
みたいに
わからないでいてあげるよ
....
今日が終わる
あなたの背中のうえで
今日が終わる
犬の鳴き声
今日が終わる
ひらたく冷える空
今日が終わる
祈りと祈りでないものを混ぜて
今日が終わる
煮炊きの幸福
今日が終わ ....
1 2 3 4 5 6