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つまびく。
つまびく。
とおい音がする。
海辺の砂の、さらさらという音にも似ていて、
夕闇の中、季節外れの蝉が最期の力でうたう音にも似ていて、
それでい ....
触れられない
ウミガメの産卵をはらはらと見つめるように
あなたの泣き顔を見つめる私です
あなたは苦しんでいるというのに
私はあなたに触れられない
透明なのです
朗々 ....
ぽつり
あなたのまえにいたひとが
いつのまにかあなたのよこにいて
とうとつにうしろへといってしまう
それが死というものだとわたくしはおもっています
....
おおげさな音をたててトラックは右へと曲がる
小さなおさげの女の子が道を渡ろうとしているのを見て私は焦る
だめよ
まだ止まっていて
けれど女の子はとてもうまく道を渡って
てくてくと去 ....
かすみゆく
昭和という名の喫茶店
中には常連のサラリーマンと
マスターらしき初老の男
私はなぜか吸い寄せられるようにその喫茶店に入ってきたわけだが
本棚に詰まってる室生犀星 ....
さくらはなびら
ふるふるふるる
さくらうすべに
きらきらひかる
ふるるしたにて
わたしみあげる
かぜにまうまう
さくらのふぶき
生き抜く
という仕事をわたしはしている
鳥の絞め方は昔他人のばあちゃんに習った気がするが
怖くて見てなかったから
そうチャリンコの乗り方も習得遅れの臆病者
あなた
生きてたでしょ
わ ....
あのこじきのうたったうたは
どのようなうただったのだろう
ふとおもう
かなしみばかりではないだろう
だがよろこびばかりでもないだろう
わずかなこぜにをかせぐため ....