触れられない
田園

触れられない


ウミガメの産卵をはらはらと見つめるように
あなたの泣き顔を見つめる私です
あなたは苦しんでいるというのに
私はあなたに触れられない
透明なのです

朗々と歌う歌歌いを見つめるように
あなたの迫真を見つめる私です
あなたは光り輝こうと必死なのに
私はあなたに触れられない
いないんです

私という季節が過ぎて
幾年がたったでしょうか
私はただぼんやりと
消えたからだをもてあましています
あなたに触れたいのに
ただ見つめるしかできないのです
これが
哀しいという事でしょうか
それすらも
分からないまま


自由詩 触れられない Copyright 田園 2013-07-18 08:24:30
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