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あなたの死体が
打ちあがる入江に
とうとう春が流れ込む
めだかの大群が弧を描き
光と影の
無数のオウトツが
あなたへ向かう
あたたかい波にたゆたい
塩に溶け
無機質な瞳が
....
わたしがみたいもの
ちょうど林が重なるとき
岸の端だけ明るいの
わたしがみたいもの
頬のこけた旅人の耳
一年に一度受信できるラジオ
わたしがみたいもの
雨にうたれる阿修羅像
も ....
冬の桟橋
わたしは車の中で
あなたの後姿を見ていた
象のような冷たいハンドルに
両手を置いて
わたしはあなたを見ていた
ワイパーが
幾度となくわたしに
顔を近づけて
こすれるゴム ....