すべてのおすすめ
ちょっとした異性の情けに
心が前を向き
元気になって意気上がり
意気上がり
浮かれ心の有頂天

天に昇れば
あとは 落下
後ろを見ては 沈む心
取り巻く人の
心を上目遣いに覗き込み ....
中学生になってはじめて学校へ行った日
いくつかの坂道を登り下りし
いくつかの集落を抜けてたどり着く

坂道は辛かったが 
ところどころに桜が花をつけていて
気分は悪くなかった

集落は ....
風呂をたてると近所の家族が集まっていた頃のこと
風呂水運びはぼくの仕事だった
三十メートルほど離れた小川から
両手に水の入ったバケツを提げ運ぶ
萎えそうになる気持ちを
腕の力を鍛え野球選手に ....
疲れた顔で見舞いに来ないでほしい

わたしの看護のために
あなたを育てたのでは無い

あなたはあなたの生き方で
社会の仕事を果たさねばならない
それがあなたの人生

わたしの看護が加 ....
まだ若い老人であったころ
同僚と紅葉の山麓へドライブ旅行にでかけた
秋空のもと 静かな集落を抜けるとき
前方遙かに 背をかがめた人が横切るのを見た
同僚はスピードをやや落として言う
「老人は ....
祭り太鼓の音があちこちの集落から
田面に流れ出すと
こどもたちたちは宿題も魚取りもすっかり忘れて
祭半纏をはおって祭宿に駆けつけ 
出迎える獅子頭を連れ出して
集落内を練り歩く 

ぼく ....
盤面に行儀良く並んだ歩兵
敵の攻撃を真っ先に受け将を守る
時には味方にも無視され
時には邪魔もの扱いされる歩兵
敵陣深く突入して将となるも
あっさり討ち死に
そして 次には
味方だった将 ....
ビルが朝陽にかじられて
吐き出された陽光は窓をすり抜け
昨夜の恥部を暴き出す

人々は慌ててカーテンを閉じ
ベッドを隠し
朝を始める

わたしと来たら
病室のカーテンを開け放ち
 ....
夕焼け小焼けは ビルの先
から降りて来ない都会
谷間でうごめく人々は
電飾を着飾っていて
日暮れがない

○○山の△△寺(でら)はビルに飲み込まれ
夕暮れの梵鐘は口を閉じて
頭の中で鳴 ....
玩具売り場の前から幼児の泣き声が
人の溢れた地下街広場に響いて
若い夫婦の困惑が子供を叱る

幼児と親と対立する主張は
地下街の雑踏を立ち止まらせ 
黙らせる

  己の主張が通らない ....
庭に遊び場があったころ
雨の後には水たまりが出来
蒼空を写していた
青空には雲が流れ
雲の中にぼくの顔があった

けれども
水たまりが有ると
ハンドテニスや長縄跳びが出来ない

早 ....
桜の花に誘われて散歩するわたしの行く手の
立ち枯れた葦の叢から飛びだした番い  
ギャッと鳴いて 慌てふためき 灌木の陰に潜る雉子
間違えはしない
登校した私を小学校の玄関で
毎朝迎えて ....
こたつと蜜柑の季節が終わって
それでも フッと食べたくなる蜜柑
蜜柑産地のJAで赤い網袋に入って
300円の値札を付けて並んでいる
{ルビ寒=かん}の間{ルビ室=むろ}に貯蔵されていたものだ
 ....
その男は 
幾つも電球を並べた灯りの下で
ぼくの胸を切り開き不機嫌な心臓を取り出した
心臓の中に豚を入れ調子よく動かそうというのだ
更に男は心臓のあった空洞を覗き込み
ぼくさえ知らない潜み物 ....
 モシモシ オカアサン
 ワタシ・・・・
長い待っていたひと言
鬱々の闇は晴れる
営々と続いた生命の
未来に続く扉は開いて
愛の儀式に黄金の光が溢れ

 モシモシ カアサン
 オ ....
町の
流れから
取り残されたものたちが
風に
捨てられたものたちが
身を寄せ合って
淀んだビルの谷間

愚痴は
爆ぜる気力さえ
失って
飲み込まれていく
夕焼けがビルの窓から覗く頃
わたしの時間が始まる

昼間着ていたスーツを脱ぎ捨て
わたしを取り出して
カフェの片隅に
あるいは
居酒屋の椅子に乗せる
女は二人目の子どもを男の手に渡すと
彼岸に渡った子を追ってすーっと消えた
こちらに残した子は 
父も祖父母も伯母もいて
大勢の大人に囲まれて
春も夏も秋もあって
冬も暖かい部屋
十分な食 ....
空き瓶収集所まで行く途中に
今年始めてみたカエルは仰向け
四肢を広げて道の真ん中に一匹 
こちらの路肩とあちらの路肩にも一匹と
まだ冬の残る雨に濡れている

暖かい日が二・三日続いて
冬 ....
サラリーマンが命を担保に金を借り
建てた家々の集落
書割のような中流階級
文化を支えたピアノ

音の断片が集落の中を
誇らしげに 恥ずかしげに
歩いていたのは何時のころだったか

口 ....
夏でも冬でも昼飯はこれが良い
薬味ネギに
わさびを効かせた付け汁で泳がせ
一気にすすり込む

長く伸びたまま食道を抜けることなど
所詮無理な話 かたまって
食道の途中で速度を緩めた
 ....
どうして
アスファルトで覆ったのでしょう
芽生えようとしていた希望が
誰にも知られず
死んでしてしまったら 
訪れた春は悲しむでしょうに
切り裂かれた皮膚から
去っていった細胞が
シクシク泣いている

あの日開いた傷口は
新しく育った細胞にふさがれて
戻る場所はもうない
無影灯の下で
 (あるいは 河原で 砂漠で)
鶯色の神々にかこまれ
 (あるいは 烏色の悪魔に)
無防備に横たわる

切り裂かれる皮膚
晒し出される内臓
 (生きものの命を掴んだ少 ....
過去は霞みに沈んで
昨日しか見えないけれど

未来はもっと見えない
目前に現れ始めて気がつく
それが昨日用意されていた
としても

交わらない直線が
全て平行などとは思わないが
平 ....
西の山に陽が近づいて
1日が終わろうとしていた
男は川面すれすれに延ばしていた竿をあげ
帰り支度を始めた
ゴカイを川に返し 椅子をたたむ
通りがかりの人が声を掛ける
 「連れましたかね」
 ....
   賽の河原にて

幼児の地獄 賽の河原で鬼がぼやく
この頃河原に来る幼児の数が減って
たまに来ても 石積み遊びを知らない 
石投げばかりしていて危なくて近寄られせん
ケルンつくってみせ ....
光がどんなに早くたって
地球を廻ることはありません

もし一秒に7回半も地球を廻ったら
ぼくの陰はずーっと伸びて
延びて のびて 
ぼくに後ろから覆い被さり
また延びて 延びて のびて
 ....
日本にはね
本当の荒れ地も 砂漠もないんだよ
確かに 
火山の荒れたガレ場や 海浜の砂丘は
あるけれど
それは 緑豊かな大地のツマ
それがあって
それも含めて
大地は一層美しくなる
 ....
人には全裸になっても
見えない部分があります
隠しているわけではありません

母は江戸と背中を見て死にたい
と言っていました
  その頃 
  江戸はもうありませんでしたけれど
  背 ....
ただのみきやさんのイナエさんおすすめリスト(242)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
こころころころころがって- イナエ自由詩15*15-5-25
戦慄- イナエ自由詩12*15-5-19
嫉妬- イナエ自由詩5*15-5-17
娘よ- イナエ自由詩15+*15-5-11
年を取る取るとはこういうことかー振り返るー- イナエ自由詩11*15-5-5
村祭と従妹- イナエ自由詩7*15-5-3
「歩」の少年- イナエ自由詩10*15-4-30
ビルが朝陽に囓られるとき- イナエ自由詩17*15-4-25
夕焼け小焼けで…- イナエ自由詩7*15-4-23
自己主張- イナエ自由詩16+*15-4-16
- イナエ自由詩15*15-4-8
雉子- イナエ自由詩15*15-4-7
三月の蜜柑- イナエ自由詩15*15-4-1
開胸手術- イナエ自由詩17*15-3-29
親の愛が金になるとき- イナエ自由詩5*15-3-27
淀み- イナエ自由詩7*15-3-25
夕焼け- イナエ自由詩7*15-3-25
賽の河原- イナエ自由詩6*15-3-23
カエル夭折- イナエ自由詩12*15-3-19
ピアノの去った日に- イナエ自由詩15*15-3-13
年を取るとはこういうことかーざるそばー- イナエ自由詩15*15-3-10
舗装農道- イナエ自由詩13*15-3-7
傷跡の痛むときに- イナエ自由詩16*15-3-5
幻死_- イナエ自由詩8*15-3-3
近視- イナエ自由詩11*15-2-23
平和を釣る- イナエ自由詩16*15-2-20
楽しい空想ー地獄事情ー- イナエ自由詩10*15-2-19
楽しい空想ー光ー- イナエ自由詩9*15-2-18
あなたを見ている人はいる- イナエ自由詩8*15-2-14
裸になっても- イナエ自由詩8*15-2-14

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する