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定年退職したから 専門知識を生かせという
世界中の研究者たちと協力して
大所高所からものを言い
人類の平和と繁栄に尽くせという
わるい誘いではないけれど

しかしなあ どうして退職してから ....
   
たたかれても 怖がられても
一日中笑顔で過ごす 
他には表情が無いから

人間と同じ姿に作られて
どこで間違ったか
喜怒哀楽が有るように錯覚されて

人と遊びたいとも思わない ....
                 
紅葉した山腹に 村落が置き去りになって
その上空を横切る高速道路を車が飛んで行く
山に張り付いた林道が村落から延びて
水筒を肩からたすきに掛けた男が一人登っ ....
人の体温に恋して
霊は家に住み着くらしい
頼んだわけでもないけれど
周りにたむろする木や草の
のぞき込む好奇心を追い返し

昼間 人が出かけても
テーブルの下 柱の陰
ドアの後ろの暗が ....
秋の夕暮れ
床に漂う冷気に足を漬け
おとこひとりタマネギを剥く

まな板に乗せ 包丁を持ち
玉ねぎの白い肌が 
病床の妻に重なって
ためらったおとこから
逃げたタマネギ

床から拾 ....
あなたが風変わりな人と知ったのは
新緑の上野動物園の入り口で
二時間後にここに集合という言葉を聞いて
会社の人らと別れて一人
不忍池方面へ消えたときのこと

みんなで群れておしゃべりしなが ....
早朝 
寝ぼけ顔で庭に降り
如雨露を取りに飛び石伝いにゆけば
いきなり顔面を覆う蜘蛛の糸

悲鳴こそ上げなかったものの
粘っこく絡みつく網に息を止め
指を立て取り払ても 
容易には剥が ....
長い間育った母の胎内から
外にでいたあなたの前には
無限の白紙が広がり
あなたの人生が始まりました

あなたを記した最初の文字は
  二〇一三年 誕生  男 
  血液型 A型 RH+
 ....
人が交差する地下街
人形売り場の前の通路に
子どもの泣き叫ぶ声がわき
困惑ししかりつける若い母親
微笑んで通り過ぎる年配の夫婦
遠い日のにがい記憶がよみがえる

 鄙びたドリーラ ....
近所に温泉があって
泥水のように濁った湯と
青みがかった透明な湯と

泥んこ温泉はホントに温泉らしくて
透明温泉は井戸水お風呂のようで
でもどちらも温泉

晴れた朝の風景を
 ....
原色の風景が
真夏の陽光に
溶ける午後

愛の幻想に
溺れる男は
実像を求めて
海に潜る

捕らえた肉体の
乳房は溶けて
流れ去る

時を
遡行する男の
前をゆく実像は
 ....
秋の中国地方を巡るツアーバスが
平和公園に着いたとき 記念館から 
修学旅行生の一団が出てきた
入れ替わりにはいった私たちが
今日最後の客になった

平和記念館を出ると
秋の陽はすでに落 ....
風が吹けば
裏返り 寝返る
白と黒 
どちらも表で
どちらも裏で

裏の中に表が潜み
はっきりさせないことが
生きる術
だというけれど
白 黒 × ○
二者択一を迫られる
意思 ....
吊り橋の真ん中で二人は懐中電灯を消した
月も山の木立に光を隠した

手を延ばせばそこには異性がいた
何時も顔を合わせている相手だったが

不意に訪れた二人だけの世界に戸惑って
互いに黙っ ....
ロシアでもドイツでも
三人兄弟の末っ子は
けなげでありたくましい

日本の三人姉妹の末っ姫は
異界に嫁いで人間世界を救う

水の不足は命の危機
日照りの続く田の畦を這う小蛇と
交わし ....
サッシュの窓といえども二十年もすれば、ひずみも出るし、隙間も出来る。
夫婦の間にもずれや、隙間ができる。
若い頃は埋めようと色々と努力して、かえって息苦しくなった。
年経て、諦めたのか、ゆとりが ....
 
路地裏を通り抜ける豆腐屋のラッパは
夕暮れによくにあう

かくれんぼの時間が削り取られて
ひとり帰り ふたり帰り 
隠れたまま鬼から取り残さて
気がつけば夕闇につかまっていた
どこ ....
  視界の開けた農道の十字路で
  車同士が衝突する死亡事故が
  今年二件も起きた

屋根の上の仕事師は言う

屋根の上が安全です
棟は細くておっかないって?
歩く足の幅が有れば十分 ....
夏の庭には自然が蔓延る
カマキリが三角頭をかしげ
雑草が繁茂して人間の通り道をふさぐ
その葉裏からわき出る蚊 這い出すヤスデ
ときには蜂が茂みに浮かぶ花を尋ねて
低く飛行する

手入れし ....
   
生まれてからぼくは
姿のあるものに名札をつけてきた

手に触れるものや 目に見えるもの
目に見えない小さなものにも
ぼくの周りの森羅 ....
吊り橋の真ん中で二人は懐中電灯を消した
月も山の木立に光を隠した

手を延ばせばそこには異性がいた
何時も顔を合わせている相手だったが

不意に訪れた二人だけの世界に戸惑って
互いに黙っ ....
目覚めはじめた街の夜を 置き去りにして
東京発二〇時三〇分 のぞみに乗り込む

この列車に乗って人はどんな望みを持つのだろう
あるいは捨てたのだろう

 夜と昼の混濁したこの街は わたしに ....
月はね 二つあるのだよ 
望遠鏡から離れて 自分の目で見てごらん
三日月の尖ったあごは二つに分かれているだろ
昔の人が見た乙女や兎が住んでいる月
今見る乾いた月の後ろに少しずれて
ぼくに ....
タンスの上置き 小引き出しの奥深く
潜められていた桐の小箱
黒ずんだ表面に彼の名が沈んでいた

初めて見る彼自身の臍の緒(へそのお)
波立つ胸を押さえ 箱を開く

 母はこの管を通して
 ....
                     
 
ひんやりした部屋の鴨居(かもい)
黒い額縁の若い女に寄り添った老人
の真新しい写真に目をやり
タンスの引き出しを開ける
引き出しいっぱいに満 ....
 

棺は静かに炉に入り 錠が下ろされた。
男は 合掌している彼を扉の横に連れて行き
ボタンを押せと言う
「それが後を引き継ぐあなたの役目だ」と

うなり始めた炎の音を確かめ控え室に戻る ....
 

病室に眠る人の腕に滴下する液は
機能を失った腎臓をすり抜けて全身を潤し 
枯れた膚に青く透けるような艶と張りをみなぎらせた

目で合図を送って廊下に出た医師は
一緒に出た家族に覚悟 ....
陸に上がることなど望んでいなかった
沖から寄せる波に乗せられたのだ
いつになったら戻れるのか
オットセイだったら良かったのに
だが人の助けが無くては水の上でも
自由には動けない
ましてや陸 ....
ベランダに出る
たばこを取り出す
火を付ける
煙を吐いて見上げた空

ぼんやり白い雲
切れ間に
オリオンの三つ星が
行儀良く並んでいる

カーテンから漏れる居間の光が
隣の家の壁 ....
人間がうさぎを喰っていたころ
うさぎたちは月へ逃げた

いま うさぎを喰う人が無くなって
うさぎたちが青い星へ帰ってくる

風の朝 小高い山から眺める海に
浪の上を走る姿が見える
ただのみきやさんのイナエさんおすすめリスト(242)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
世拗ね人- イナエ自由詩11*13-11-13
アクトロイドの愛- イナエ自由詩9*13-11-8
亡き従兄弟に捧げる- イナエ自由詩7*13-11-6
家霊- イナエ自由詩22*13-11-4
玉ねぎの涙- イナエ自由詩10*13-11-2
あなたの不安- イナエ自由詩6*13-10-31
ジョロウグモ- イナエ自由詩9*13-10-13
命名- イナエ自由詩12*13-10-7
幼児の友情- イナエ自由詩6*13-9-26
温泉水と詩- イナエ自由詩6*13-9-10
欲望- イナエ自由詩8*13-8-25
八月六日の影- イナエ自由詩16*13-8-6
オセロ- イナエ自由詩12*13-7-19
淀む- イナエ自由詩7*13-7-8
夜叉姫- イナエ自由詩12*13-7-7
隙間- イナエ自由詩8*13-6-30
日暮れ刻- イナエ自由詩25*13-6-27
安全地帯- イナエ自由詩10*13-6-10
挽歌- イナエ自由詩7*13-5-31
消えた名前- イナエ自由詩5*13-5-29
吊り橋- イナエ自由詩11*13-5-18
- イナエ自由詩6*13-5-13
- イナエ自由詩8*13-5-13
儀式4_転生- イナエ自由詩7*13-5-1
儀式3_追葬- イナエ自由詩6*13-5-1
儀式2_移入- イナエ自由詩4*13-4-30
儀式1_喪失- イナエ自由詩4*13-4-30
陸に上がった船- イナエ自由詩12*13-3-10
冬の蛍- イナエ自由詩513-2-14
月のウサギ幻想- イナエ自由詩8*13-1-29

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