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手をとりあって
いちばん深い風の吹く場所へ行こう

其処には音楽のような樹と
祈りのような泉がある

手をとりあったまま
いちばん深い風に浄らかに吹かれて
たたずんでいればいい

 ....
水の昏さを溜めてゆく瞳に
追憶のかたちとして映る睡蓮
青い闇の底
鍵盤が滴る
それらを奏でる指たちは
烏座の方角からやってくる

遠くにたたずむほの白い光圏の
愁いと呼応するカーテンの揺らめき

漂う柑橘の花の香が
ふとひと ....
白い午後の中で
心臓は
碧い虚脱の器である

ふいに
その中から
チューリップがのびて
あまりにも真赤な花を咲かす
曲芸師は球形の虚無で玉乗りをする

奇術師はハットから鳩形の虚無を取りだす
きらめく街に二重映しに
廃墟が黒々と微笑んでいる
何からの自由 何への自由

星が降る 壊れながら降る
その欠片が傷つけてゆく無数の意識
何からの覚醒 何への覚醒

君はいつ泣いていた ....
何に耐えかねてか
世界からぱらぱらと言葉が剥がれ落ちる
きらめく言葉
傾いた言葉
青ざめた言葉
しどけない言葉
跳ねまわる言葉

何に耐えかねてか
僕からもぱらぱらと言葉が剥がれ落ち ....
街はずれの空き地
うち捨てられた木箱に
天使が一人腰掛けている

その双つの翼は
いろいろなものの欠片で出来ている
ガラス片 陶片 金属片 石片 木片……
すべてかつては何かの一部だった ....
私の中の
幽暗な領域に
潜むひとつの刻印
おそらくは私という存在の始源から
其処に深々と刻まれていた

その刻印からとめどなくあらわれる
何体ものファントム
美しいもの 醜いもの
華 ....
ノイズ
世界から降ってくるノイズ
を増幅しつづける過剰な神経

らんらんと{ルビ赫=かがや}いてしまう意識
この苛立ちからは逃れられない
僕が世界から逃れない限り
あるいは
僕が僕から ....
純粋遊離線の導くままに
此の世の座標上から二人して逃亡しよう
巨きな万華鏡の中にしつらえられた
夏迷宮へと入り込んで
光る樹々と湖や
虹色の長い夕映えや
大粒の星座の中で
思うさま誰から ....
やわらかな祭壇から羽搏く宝石函
銀のスウィートピーが窓辺で揺れる
炎と氷の繊細なレースを身に纏い
水平と垂直との幸福なダンス
ダイアモンドの心臓の生きいきとした旋回
ピアノの鍵盤は記憶と予感 ....
第二十三号の地球が
悲しみの瞳を見せている

太陽の中の蒼だけが
灼けつくように孤塔をふちどる

啓示を失った永遠の
――それは羽搏きか痙攣か

見者たちは黒い手帳に
 ....
彼は詩と戯れている
彼は詩を知らないけれど
詩と深々と戯れている
だから彼は踊る
誰よりも美しく

彼は恋を知らないけれど
薔薇の愛撫も菫の接吻も
知っている
だから彼は踊る
あや ....
緑色の闇の底で
君の白くながい指が
夢の皮膜へと滴ってくる
ゆらめく窓辺では
君の可憐な劣情が
青くヒアシンス状に咲いている
アイリス
君を見てきた
誰もが君の姿に
夢や憧れの物語を描くけれど
アイリス
でもきっと誰も
そして僕も
知ることはない
ほんとうの君の
創世記も
黙示録も
それはただ君の中で語 ....
あちこちの葉陰に
星たちがひそんでいたかもしれなかった
小さな噴水は
古い歌のリフレインを奏でていたかもしれなかった
白い日時計は
誰も知らない刻限を指していたかもしれなかった

アーチ ....
春になるとあらわれる
円い緑の丘がある

その丘はいつも
すこし遠くにあらわれる
だからそのてっぺんに吹く風を
わたしは知らない

その丘の上の空は
昔に書いた詩たちが
掠れて消え ....

 蒼い閃

閃する刹那の連鎖を放つその身体

うねる弦に奏でられながら
時空を
   そして彼を見つめる数多の意識を
      うねらせ奏でてゆくその身体

クールで小粋で小 ....
{引用=
*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目 ....
それが彼らの云う正気ならば
私は優雅な狂気を纏って踊りつづけよう

それが彼らの云う現実ならば
私は優雅な夢に包まれて眠りつづけよう
1

繊細な抒情と
硬質な抽象の狭間に
不意に出現する少年の輪郭


2

指さきから歌を零している
気づかずに どうしても
指さきから歌を零してしまう


3

羽搏 ....
もしふと世界が終わるならば
それはきっと
こんな澄んだ青い空の九月の日だろう

そんなことを思うと
なつかしさという古い抒情が
僕らを草のようになびかせてゆくね

小さな桟橋 きらめく ....
錆びた炎 軋む月
夜の裂け目で澱んだ花が踊る
誰も居ない丘に枯れた時計が降りつもる

砕けた虹が撒き散らす痛みの音符は
捩れた星座と狂おしく共振する

仮面の支配者は巨大に聳え
その影 ....
一度も私のものだったことがない君を
果てしなく喪いつづけている
その喪失が胸に生む波紋の美しさに
{ルビ彩=あや}なす言葉でうたわずにはいられない
色硝子のようにあざやかに
此の世へと迸りつづける君の生

でありながら同時に
{ルビ果敢=はか}なく無へと消え入りつづける君の生

誰よりも
あやうくきわどく揺らめきつづける ....
わたしはわたしの中に
夜を溜める
そしてその夜を醸してゆく
深くなるように
やわらかくなるように

わたしはわたしの身体に
花を鳥を
風を月を沁みこませる
わたしの中の夜が
やさし ....
光は淡い
私は愁いを分泌する

花が咲いている
白の黄の 紫の花が咲いている
私は愁いを分泌する

ちいさい蝶たちも舞っている
私の目には見えないけれど
きっとちいさい精たちも
こ ....
時の檻の中で
彼女は銀色のルージュをひく
幾度目かにひらいた
青い扉の向こうに見えた落書きが
彼女の意識の何層にもわたって谺している
劣化した夢 腐蝕した幻想が
あたりに散らばっていても
 ....
博物館に愛の標本が並んでいる
眺めているとわかるのは
愛というものはおそろしく多様だったらしいということだ
まっすぐなのも歪んだのもある
美しいのも醜いのもある
透きとおったのも濁ったのもあ ....
ただのみきやさんの塔野夏子さんおすすめリスト(71)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
恢_復- 塔野夏子自由詩6*15-6-19
睡_蓮- 塔野夏子自由詩2*15-6-7
五月の夜- 塔野夏子自由詩2*15-6-7
春の寸劇- 塔野夏子自由詩5*15-4-25
とある祭の片隅のテントで- 塔野夏子自由詩3*15-1-29
奇妙な祝祭- 塔野夏子自由詩6*14-12-7
静かな手- 塔野夏子自由詩7*14-11-3
九月の天使- 塔野夏子自由詩4*14-9-29
フェノメノン- 塔野夏子自由詩5*14-9-23
ノイズ- 塔野夏子自由詩4*14-9-1
INVITATION- 塔野夏子自由詩6*14-7-19
蒼星交響楽- 塔野夏子自由詩7*14-7-11
黒い手帳- 塔野夏子自由詩7*14-7-1
彼は知らない- 塔野夏子自由詩6*14-6-23
夜想曲- 塔野夏子自由詩5*14-6-15
アイリス- 塔野夏子自由詩8*14-5-25
Heart_of_the_Garden- 塔野夏子自由詩4*14-5-11
春の丘- 塔野夏子自由詩6*14-4-7
Dancer_on_the_Edge- 塔野夏子自由詩5*14-1-17
四行連詩_独吟_<界>の巻- 塔野夏子自由詩5*14-1-5
優雅なる反逆- 塔野夏子自由詩5*13-12-3
少_年- 塔野夏子自由詩4*13-10-31
九月二十七日_快晴_24℃- 塔野夏子自由詩9*13-10-1
Beautiful_Dreamer- 塔野夏子自由詩3*13-8-11
- 塔野夏子自由詩9*13-7-29
少年刻- 塔野夏子自由詩10*13-6-25
夜を溜める- 塔野夏子自由詩18*13-6-1
春の分泌系- 塔野夏子自由詩3*13-4-29
彼女についてのケース・スタディ- 塔野夏子自由詩2*13-2-11
愛の標本- 塔野夏子自由詩5*13-1-27

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