九月の天使
塔野夏子
街はずれの空き地
うち捨てられた木箱に
天使が一人腰掛けている
その双つの翼は
いろいろなものの欠片で出来ている
ガラス片 陶片 金属片 石片 木片……
すべてかつては何かの一部だったもの
しかし今は それだけでは役に立たぬもの
(それらは翼のかたちを成してはいるが
果たして天使は 飛べるのだろうか?)
天使の双つの 醒めた海の色をした瞳には
其処からは見えるはずもない
はるかな白い灯台が映っている
自由詩
九月の天使
Copyright
塔野夏子
2014-09-29 18:36:37