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ゆうぐれが
ひとつずつ死んでいく
さよなら、それでも
また明日
会えるといい。
と
なんども手をふる
彼は
東ばかりを見る
橙の
奥 ふかく
つめたく
や ....
倉吉病院にきちがいを連れて行くと5000円もらえる
倉吉病院の裏山には隔離施設と秘密の沼と竹林があって山を越えると
東伯郡になって梨園に出て夏になるとおいしく食べられる
竹林の奥の井戸のトタン板 ....
天根の辻で水をもらう
日の暮れるには早い刻で
このまま休みたくもあり
まだ行くかとも計り
いつまでもたばこをのむ
新開通の鉄道がここいらを
過ぎ越してさびれた土産屋
小唄の焼 ....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
アイスキャンディー
ある冷たい話をする
アイデンティティ
大学の一室はもう真っ暗
カーテンは黒い
書道部が逃げていく
追いかける学生はその倍
自宅待機の者はその倍
中国の人口はその倍
....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
潮がゆっくりみちてくる。
潮がゆっくりひいてゆく。
波の音をのこして干潟がある。
あついことは暑いことだと夏はただ言って
10メートル先の水たまりを勝手に縛りつけた
彼はどこにも行けない身体をしているのに
もう一人の彼女がいつまでもそばに寄れないようになっているのは
た ....
なに
書いてるのかな
風がみどりの木をゆらしているのは
巨人がおどっているから
と
彼女が申すので
書いてみた
僕が思うに、目に見えないってのは
風もそうだけど
見え ....
最近納豆食べてないと気付いた
胃がいたむ少女は考えているところ
ぼくが新しい自転車を買って
ひなたを避けようともせず駐輪したことを
約束まで12分あればいける
いくつものフィーリングを意 ....
最初から
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わる ....
突然
写メールを送りつけてきて
おれの誕生祝いに
夫婦ふたりで
温泉に行くのだという。
ちょっと待てよと
息子としては思う。
おれの祝いなのに
なんで
昭和元年と
大正十四 ....
ふらっとでいこう。
何にも迷わず。いや迷うのはいい。迷うのは出口を探すからだ。
ここは360度の透明な海。出口もなく。入り口もない。
誰かがドアのふりをして私のそばをすり抜ける。
おは ....
赤土の皿に赤い身
濃い溜まり醤油と
潮気かおる雨宵
ここでしか漁れんもんやから
引き戸かたつく飯どころ左隅で
ちらちら横目くれられビールを半分まで
流し込む
わぁ美味しそう ....
こいさんや
もうちょい静かにでけへんか
そら、
お母ちゃんに買うてもうた チェーンソー
ごっつぅ気に入ってんのは
ようわかるんやけどな
あんまり振り回しよったら
しまいに壁、穴 ....
子供の頃のいたずらの跡がまだ 障子に残っているから ぼくは床に伏したままでも透視することが出来る 空は曇っていて 北と南で濃淡が違う あの人は傘を持っている カラスは濡れても構わない あるいは飛び立っ ....
聖母子像
霧のなかをわたしは母の手に
ひかれ ながれるもやの
街道を歩いていた
それは途方もないかなたへの
流離譚のようにおもわれた
母が世 ....
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな
と
親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔
まだ見たことありません
のような午後の世界に
河川敷の花火
の音が聞こ ....
アタシ
女の子でよかった
こんな悲しい日でも
アタシのスカートはヒラヒラ詠う
こんな悲しい日でも
太陽が眩しいのと同じくらい
君に目が眩んで
他には何も見えてなかったの
....
朝の花瓶から落ちたばかりの
新しい百合の花の傍らに
朝の床にて閉じたばかりの
新しい蝶々を添えたらば
一滴も流れず
ふたつ
満ちた
何も願わない夏の朝
百合の花と蝶 ....
--僕の、美しい人の話をしよう。
さっきまで、おしっこみたいな雨が降っていたのに
太陽の奴ったら
まるで君の妹のように、甘酸っぱい笑みをうかべて
うそみたいにけろっと晴れちまう、
なんて ....
忘れてしまえるくらい
に だけ
触れてほしい耳たぶの
熱にも
きちんと そよぐ
こうへいな風は
そこここにおとずれて
猫の鈴や
窓を
鳴らし
合図をする
カーテンは
ふ と ....
おんなのこを
すきになる
このひとことのかげひなたに
どれだけのかぜと、あめとゆきと、ひでりとあつさが
さむささえ
からだのなかに
けあなに
すみこんでいるだろう
ときめき ....
ピンポン球の
はねる理由を
知りたくて
開いてみたら
からっぽだった
どこかで
見かけませんでしたか
気がつくと きみは
魚になってしまっていたので
ずっと
きみを知っていたのに
はじめて見たような気さえした
望遠鏡をのぞくと いつも
波がよせては砕け
飛び散る
セロハ ....
冬の配達人が
夏に来て
僕に言う
「君の手紙には切手があと十円足りません。」
早く切手を買わなくちゃ
朝の配達人が
夜に来て
僕に言う
「君が書いた宛先は薄くて ....
この
でんしゃは
なもなく
なもないばしょを
ていしゃばに
しています
かたたん
たたたん
うえに
あがってゆくほど
でんしゃのなかには
いろんないろが
たくさんつ ....
お前はなぜそちらにいってしまう
なぜ嬉しそうにそちらにいってしまう
私の手をなんて簡単に離してしまったんだ
あとではぐれたてもお前なぞ知らないぞ
お前はなぜそちらにいってしまう
なぜ嬉し ....
君といないことを意識してください
会いたいのは今ですが
ずっと ずっと
会いたいと思っていてください
君がいないことを意識してください
素直なのは心ですが
ずっと ずっと
想っていて ....
あいかわらず颯爽と世界は血をはく
めくるめく憂鬱にようこそとぼくは言いたい
今日も殺される夢を見たよ
教室によくいるちょっと苛立つ奴の真似とか
無駄に上手くなったりしたよ
削除されたホームペ ....
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