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卒業式の日に
飼っていたホオジロにリボンをつけて
冷たい空に放してやった
冬の鳥だから
冬の山へ帰してやったよ
せんせいの声も
ピアニカのドミソも
みんな憶えていたいけど
ばいばい
....
いじめをなくそうとするのは現実的ではない
いじめはなくならない
九電の原発を停止させたままにするのは現実的ではない
九州がブラックアウトしてしまう
現実的ではないことをすると
....
中学生の頃のよう
なんとも言えぬ息苦しさに耐えてます
あの頃もてんかん発作に怯え
呼吸のしかたが分からなくなりました
あれから十年以上たったのに
今はがんが怖くなりました
いいえ、ずっと怖 ....
僕の頭を開けてごらん
中にも僕がいるでしょう
そいつはしかし偽物だ
さあもうひとつ開けてごらん
そこにも僕がいるでしょう
そいつもしかし本物じゃない
どいつもこいつも容れものなんだ
開け ....
それでも時は流れていく
ゆっくりと
淀みなく
立ち止まる想いを押しのけ
焦る足元も
掬いあげ
鳴り響く発車のベルの音
口ごもる詩を
何度も試み
置き去りにされる記憶を
追いかけ ....
ページを捲っていくと
その先に
廃線の決まった駅がある
名前の知られていない従弟が
ベンチに座って
細い背中を掻いている
とりとめのない
日常のようなものは延々と続き
梅雨の晴れ ....
きみには
もう届かない
神さまの手紙を
僕は今日も読んでいる
きみが知る由もない
今日という日の美しさを
僕が手紙に書きましょう
こちらは四月に雪が降りました
そちらはどうですか?
蝋燭の灯りが消えてゆくように
真っ暗闇になるのだと
そんなふうに
誰に教わったわけでもないが
そんなふうに
思い込んでいたもので
真っ暗闇に包まれて
何も見えなくなることは
なんとなく ....
窓の結露を拭き取れば
むこうには霧がたって
ふくらみだした蕾の群れ
まばらにかたまって
微睡みの中のようにぼんやりとある
春は病み、桜は病気を体現する
まだ冷たさを保っている
寒 ....
さようなら自転車の音
さようなら口笛の{ルビ音=ね}
さようなら脳の病
彼女は
不幸だったのか
幸せだったのか
それとも
それを考える思考も
持ち合わせぬまま
生涯を終えたのだろ ....
奇声を発しながら
夜道をゆく彼女を
奇異的な目で
見ていた私は
それでも彼女に
親近感を抱いていた
何故なら
患っている部分は
同じだと
感じていたからだ
そう
私も彼女も
....
夜
生暖かい風
近づく口笛の音と
自転車の音
彼女は突然口笛を止めた
今日も独り
見えない何か
それとも彼女には見える
何かに
怒りや
哀しみをぶつけ
雄叫びのような声をあげて
....
足元まで
まっすぐ伸びる光は
新しい陽だ
地平線よりもずっと向こうまで
伸びている、終わりがない
直感で分かる
少年少女を照らす新しい陽は
希望の光か 影の援護か
....
わたしくやしかった
おもしろくなかった
おとうとばかりかわいがって
おかあさんもおとうさんも!
なにさ!
とくにおかあさん
おかあさんはおとうとのほうが
かわいいんでしょ
ふん ....
僕の言葉があなたの中を巡り
あなたの中で咀嚼されたその言葉が
今度はあなたの言葉として
僕の中を巡り僕はそれを咀嚼する
僕とあなたは厳密な距離を保ち
互いに向かい合いながら
堅 ....
見るともなく見て
聞くともなく聞いている
見るつもりも聞くつもりもないが
目と耳が世界を拾ってくる
触れるともなく触れて
嗅ぐともなく嗅いでいる
意思がなくても五感は働いて ....
生まれた時に
僕は一瞬心臓が止まった
僕はまだ
目も見えなくて
いっぱい空気も吸えなくて
その時未知の世界で
どうしても どうしても生きたい
と思った
神様にお願い ....
等間隔で並んだハードル
一定のリズムで走り抜けながら
傍から見れば軽々と
それを飛び越えていく
到底私には太刀打ちできないと思わせる
人生が凝縮されたような
すばらしく難しい競技
もちろ ....
こころ決して身を投げる
あなたの瞳の奥底へ
海の深みに沈んで落ちて
胸苦しさに酔いしれて
あなたの底に潜むものが
闇に蠢く魔物なら
どうかその触手で存分に
わたしを探って下さいな ....
例年にない大雪で
なれない除雪に悩む市民をよそに
ひたすらアパートの除雪に精を出す
あいつ
――大丈夫 おれ 雪国育ちだから
観測史上初を連日更新する中
近所の家々をまわり除雪 ....
見よ 夕焼けを照り返すほの暗い進化の井戸に化石した都市はうずくまり
たわわな花火をしげらせ枝はしなだれて
反転する視界に渦巻く積乱雲のふもとの石の階段
奈落の淵にさえずる木の実の色のように君の思 ....
はじめまして
わたしは
しきゅう
はじめまして
わたしは
らんそう
わたしたちは
じょせいの
おなかのなか
ちいさな
いのちを
はぐくむもの
そして
しんぞうや
....
紫がかった白い花を幾つか摘んで
古い白い穴のあいた小舟に乗る
湖へゆっくりと漕ぎ出しながら
細切れにした思い出は通った道に浮かべてある
穴のあいたこの舟はちょうど湖の真ん中で沈 ....
色褪せた
黴臭い絵葉書に
かつての
恋人へ向けて
近況と
思い出と
感謝と
文句を
編んで
正して
埃を払い
敷き詰めて
勇気の
すべてを
流し込み
届けても ....
いつの日も
いつの日も
空しい穴を掘っています
雨ざむざむと降り続き
穴に雨水溜まります
泥も崩れて流れ込み
空しい穴は埋まります
僕のからだも埋もれます
どうしようもなく退屈で
僕 ....
僕らの肩越しに
夏の空を仰ぎみる向日葵がそっと囁く
もうすぐ太陽は死んじまうんだって
燃えゆく空を傍観する肩に忍び寄る影
僕らはそれを
払いのけるようにして烏を追いかけた
決して振り返らず ....
むかしの写真は殆んど燃やしてしまいました。忘れてしまいたいことばかりです。小中学生の頃の同級生たちは、わたしが詩を書いているなどと想像もしないどころか、わたしの存在すら記憶にないでしょう。ましてや子宮 ....
夏の真ん中ぬるい朝
今日から俺を養ってくれ
彼女へ平然と懇願した
散歩して昼寝して
本だけ読んでりゃ
月日の感覚なんて
ふんわりきえる
ニートがタバコ吸ってんじゃねぇよ
怒鳴られた ....
空き缶が転がっています
運命に転がされ
気紛れに蹴飛ばされ
道ゆく車に轢かれています
元の色は剥げてしまい
誰だかわからないことでしょう
何処にいきたいとか
....
Lサイズの西日が
Sサイズの町を照らす頃
Mサイズの犬が
SSサイズの猫と
キッズサイズの路地へ入り
LLサイズの夕食を済ませ
フリーサイズの庭で眠るのです。
....
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