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静かな潮の満ち干きが
袂に隠し持つ黒い手帖に蒼い譜面を奏でる
陽炎の傷痕に海月の脚が優しく絡み
波打つ水面に蓋然性の円を結んだ午前零時の次元の窪み

深呼吸は沈む胸の最奥に聳える鍾乳石となり ....
育まれた大地は哀しみに暮れ
あなたの幸せを乞う、と
腐敗した果実を土葬にいだく

還れない連鎖がある
祝し祝される転生の輪を閉じ
静かに響く余韻の産声を預ける

生き写しの影が光となる ....
水面を幾重にも抱きながら藻が囁く
流れは何をも見送るもの
躓くものも うつむくものも
嘲笑うものも 祈りのひたいも

魚が撥ねる
いま その尾が視とめた光の破片が
太陽の剥がれた抜殻とし ....
脳の誤作動だったのだ
満月がこんなにも喝采されるのは
月は暦を変えられないことの杭を打ち込まれているかのようで
好きになれなかった

あなたの中に住まう狩人は
おぼろげな兎の陰に矢を放 ....
暁を知らせる天地
遊ぶ鬼火をくゆらせ
終末の起源を幾度となく反芻する

咀嚼された付加価値は時として
勇猛たる鷹の回遊する軸を吟じ
成長のとどろき 不変の河 
木の芽をついばみ小枝へと飛 ....
蛹の中で身じろぎする幼生の
息遣いほどの微雨
清流に屹立する山岳の岩は
主たる寡黙な黙想に耽り
棲みつく生物たちの呼吸を内包する

母を疎う駄々としてか
広野に下りた者は口々に囁く
懐 ....
垂直な疑問符を諳んじる水晶体に
「お前は誰か」と問われれば
動揺はあらわな宣誓を開示する
ありふれた病名さえ二重傍線に埋もれ
白いハンカチで覆われれば
ありふれた終末期を万年筆が叩く
その ....
{ルビ鳶=とんび}が鳴く
空の遠心力を中和した
深い谷で

静けさは声を出すことができない
涙のこぼれ落ちる音
静止衛星の摩擦音

「だから」と黙すあなたの終止符は
どんな孤独 ....
夜明けの群青の空に
透明な風の蛇がうごめいていて
脊椎に貫かれた腹でゆっくりと気流を動かしている

白んだ月は皮膚を通過し波状に広がる光を手放す
朝を迎える前の消印のように
反復ゆえの忘却 ....
虹色のセキレイが飛ぶのは
深夜だけと決まっている
この街は朝が早過ぎて
人々は象形文字を象るように雑踏を行き交い
必要があれば空を見上げる
雨垂れが首筋を打ったとか
紫外線予防にぬかりはな ....
宇宙の底から重力が持ち上がる
月は半身の影武者
その肩が抱く光を受けて
私達は夜の深淵を歩くことが出来る
亀裂を伴った果実は秘匿を香らせ
罪の熟成を誘う

勝ち得た絆は
染まらない無垢 ....
土中を這い回る魚にように
生への違和を拭えずに
代替の作法は理由も示さず月と太陽の間を追い巡る
成就することこそが必要だとは言われぬが
影法師のような慈悲が
朧げな輪郭を保って半身の羅針盤を ....
人の営みの狭間を縫って
悠久の経を信条とした河に
明かりの灯った小さな神輿が流れ
そのひとつひとつに
幼子が蹲っている
世界の何たるかを知らず
それでこそそべてを悟ったような面持ちで
も ....
クリスタルの薄い壁が
行く先を果てしなく延長させる
感情を腹に宿した目のない純白の生き物が
吐息と共にあらゆる喜怒哀楽を吐き出すから
辺りには雪のように言葉が舞い
その中に、かつての恋人に ....
あなたの表情が澄み渡るような青天から
薄暮れの黄色へと変遷する様を
手の平から零れ落ちる砂を見るような非力さで見届け
伏せた瞼に抱き留めていた

もし心臓の代わりに
胸の内に地球が瞬いてい ....
透明な柵の中を回り続ける鼠には
幻覚的な麻酔の恍惚が必要
生態系を逸脱した個体を繋ぐ夢は
遥かなる進化の虹を跨ぐのだろうか

水を与えれば開く鑑賞物のように
出窓に愛でられること自体が存在 ....
高く 高く 
昇っていく
あなたが光体であるほどに
私は透過する重力となろう
相容れない時間軸が
現在(いま)ここで触れ合うなら
蜥蜴は月に首をもたげ
大地を揺らす露草はその皮膚を潤 ....
惜しむほどには熟れていなかった
玉虫色の果実は真空の夏に閉じ込められている
暗い闇を掘り進めた結果が
闇そのものに対する妥協
肩に置かれた白骨のカルマを
慰めに思う程 足場を失っていた

 ....
あなたの腕と私の脚が 
幾何学的に重なって
ミルフィーユ様態の発熱体となる
右腕の先から頭を伸ばせば
男の背中ごし 悠々と輝る月が見えた
まるでこの土から派生して生い茂った多肉植物のよう
 ....
夜の瓶の底を叩いて
がんらんどうの静けさだ
木々は枝分かれした懐に鳥達をいだき
近づく黎明を覆い隠すように
小さな寝息を慰撫している

今日という日に、起こるべくして起きたとして
その内 ....
苔生した岩が目覚めの胸を押し潰す
浅瀬では精霊の呼び声がまだ響いているので
安らかに泉に潜り込む
カーテンの隙間から立ち昇る朝が角度を傾け
夢の泡を貫いてくる
惜しみながら深部を反転したのち ....
左耳が嗤ってる そんな時は
真鍮の針を心臓に突き刺して
鼓動の波で全身を海にする
皮膚という皮膚に群がる蟻が
感情の熱で蒸し焼きになるまで
ただ立ち尽くして真理の老木を{ルビ凝視=みつめ}て ....
微笑みを恐れて泣くなど愚かなこと
胸腔を吹きすさぶつむじ風は微熱をうばい
からころと鳴る胃が律動を求める

乾燥した真昼の道は
縄に括られた首を一心に手繰り
点々と続く血の跡を浮き上がらせ ....
あなたの重心が蛍のように揺れ動く度
私は喉の渇きを覚え、疾駆しては立ち止まる

世界が傾き星空は額縁を脱ぎ捨てる
遠い地平から、心臓を灯火に祈りを捧ぐ一群が
集合無意識の亀裂を修復しようと{ ....
餞(手なずける、価値を洗う)

掛けねを外せば、
誓った小指の奔流がしぶきをあげて
耳の浜辺に打ち寄せてくるのなら
瘡蓋も指輪も剥がしてむせび泣こう

信頼が断罪されるさまを
私秘の傍 ....
私の指先から金貨がこぼれ
あなたの乾いた唇を潤せたら
頑健な牡牛が黒いつむじ風となり
私の魂を運んでくれたら
世界は午睡のまどろみの狭間、神秘の唾液を垂らす
こめかみを濡らすその体温にあやさ ....
両の手の平に抱かれる宇宙
手からはそれを引きつけ、また離す力が充てられるから
楕円形をした宇宙は落ちることなく、ふわふわと手の間をおよぐ

頭(こうべ)から髪が抜け落ちるように
 ....
梅昆布茶さんの由木名緒美さんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海の揺籃- 由木名緒 ...自由詩4*21-12-12
無言劇- 由木名緒 ...自由詩9*19-9-11
虫のなみだ- 由木名緒 ...自由詩15*19-7-20
満月への返歌- 由木名緒 ...自由詩14*16-11-15
◎漆黒の詩吟- 由木名緒 ...自由詩7*16-9-5
◎改行されゆく地平線- 由木名緒 ...自由詩12*16-5-4
◎奇術師- 由木名緒 ...自由詩916-4-23
◎静謐の繭- 由木名緒 ...自由詩8*16-4-13
紡ぎ合う- 由木名緒 ...自由詩14*16-3-25
◎セキレイの行方- 由木名緒 ...自由詩916-2-26
◎思惟の惑星- 由木名緒 ...自由詩11*15-12-18
回帰- 由木名緒 ...自由詩13*15-12-4
シンクロニシティ- 由木名緒 ...自由詩1415-11-29
◎獏の夢- 由木名緒 ...自由詩14*15-11-8
◎地球の代数- 由木名緒 ...自由詩8*15-11-3
◎瞑想- 由木名緒 ...自由詩15*15-10-18
◎モザイク画- 由木名緒 ...自由詩14*15-9-25
時として、歌- 由木名緒 ...自由詩15*15-8-13
◎影合わせ- 由木名緒 ...自由詩1415-6-4
瓶の行き先- 由木名緒 ...自由詩12*15-3-24
◎ある日- 由木名緒 ...自由詩13+*14-4-12
ランドスケープ- 由木名緒 ...自由詩13*14-4-3
◎あぶく- 由木名緒 ...自由詩1014-3-31
◎インソムニア- 由木名緒 ...自由詩9*14-3-25
◎餞- 由木名緒 ...自由詩10*14-3-16
◎小指の約束- 由木名緒 ...自由詩12*14-3-2
胎動- 由木名緒 ...自由詩10*13-10-6

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