果てでは
混ざりあう灰色が
涎を垂らしている
むらがる夜の下では
性器をひるがえす少女
果てでは
結ばれたはずの日々も
きっときれいにほどけている
見なかった夢を見るこ ....
あとかたもなく崩れゆく遠い果実を見つめている
Hのしろい指がりんごの皮をむく
どこまでも切れることなくつづく紅い航跡はこの星を
ひと回りしてわたしのからだのやわらかい節々にから
みつく
....
きれいな字を書く女の子は目がみえなかった。
そこにはまったく目のきかない子供たちがいた。
子供たちは目が見えないところ以外は、そうでない子供たちと大差なかった。
つまりそれぞ ....
もし君が、この話を聞きたくないんならだな、さて、僕がここで生まれたとか、僕の素敵な幼年時代があんな具合だったとか、僕の前にいるリスだかタネキだか、とかなんとか、そんな《サリンジャー》式のくだらない話か ....
知り合いが
旅行のお土産を見せてくれた
腰のカーブが柔和で
咲き誇る冬牡丹があでやかな
九谷焼の小瓶だった
手のひらに載るぐらいの小ささだけども
存在感ははっとするほどで
....
080-****-1582、と。
Purururururu・・・
はい、もしもし。
あ、もしもし殿すか?
うん。
今何処すか?
今本能寺着いたトコ。何かあった?
ああ、着きました?お疲れ ....
赤ん坊のころは一日が途方もなく長かった
太陽の落ちるスピードは メリーゴーラウンドのようにゆったりとして
空の模様は 私が目で追いかけられるほどに やさしく変化した
今よりも朝ごはんは時間を ....
私たちは
おりがみのくに
二次元を
小さくたたんで
つるになって
おなかの隙間から
ふう、って
息を吹き込めば
祈りを宿した
強い記号だ
メレンゲを
淡く
....
固くて冷たい床の上
ごろんと転がっている 体
肌色の塊
Kの重み 底無し 愛しい
戸籍から消えて
楽になりたい
決して死にたいわけじゃなく
霞になって
漂いたい
憎い昼間の ....
灰色に淀んできた、わたし、を確認して、少し距離をとってみます
見るもの、聞くもの、(殺)雑音であるなら
それは、そうなのです、それで、何です
人は嘘をつきますからね、そりゃあ、
口がありま ....
ちびっ子がちびっ子だった頃
男の子は半パンにランニングシャツ
女の子はノースリのワンピとかで原っぱを駆け回っていた
いじめっ子、いたことはいたけど
みんな等しく貧しんだって思いでお ....
むかし
平安とか幸福とか安定
といった言葉が嫌いだった
平均とか一般とか全体とか
見るだけでムカついた
通念とか常識とか慣習とか
軽蔑してた
礼儀とか信念とか規律とか
クソ ....
どこにでもある平凡な幼稚園に
桃色ペリカンが園庭に降り立った
言葉が話せなくても
心と心が繋がっている
電車の連結のように
桃色の背中に園児の両手が
園児の背中に園児の両手が
ド ....
前に人から聞いた接客の話
コンビニに行く客は店員に無関心を求めるのだという
だからやたら愛想のいい人よりも
少し無愛想な人を雇う方がいいそうだ
(コンビニバイトの面接で愛想がないと落とされた彼 ....
{画像=110417071821.jpg}
光りのない浜辺を一人で歩いていた
打ち寄せる波は果てしなく
足下は脆くも流れて行く砂の水際だった
遠くの町の灯りが水面に
煌めきを残し ....
日曜日、
くさかんむりの広がる野原で
ピクニックをする
あなたは適当なところに
持ってきたもんがまえを敷いて
ここに座りましょうという
おべんとうよ、と
....
枯れたので、
私の臭いのダストボックスに捨てる。
ゆうぐれ、抱きしめられ
水槽のみなもとみなそこのはざま
男と女が居る。
慣れた時間に倦みはじめた
指で促していく。
(こえを、すこしだす ....
いと白き芍薬
ほの暗き庭園の
井戸の片へに咲きたるは
自死の佳人の佇むか
幾重もの 薄き花弁の匂やかに
滲む花蜜のぬらぬらと なまめかし
目を凝らすだに その薄衣の紅き縁
血の如し
....
さびしいと 言えず 笑った
帰り道
佇む ポストの口へ
つぶやいた
さびしいなあ
ぬれた息につつまれて
アトリエで
鳥と歌う
リスと笑う
鉛筆に泣く
+
飽きてしまった
飛ぶことにも
理屈をつけることにも
襟を汚したまま
+
空いているところ ....
貧しい公園の貧しいベンチで
貧しい僕らが座っていて
コーヒーをひと缶
分け合って飲んで
だけど、愛だけはあるから
寂しくはないよ
お金が入ったら
二人で公営の団地に住もう
そこには ....
あのコの笑顔
アンドロメダから望遠鏡で眺めているよ
彼女はぼくがこの宇宙にいることも知らないけれど
じいちゃんぱあ
ぱあでいいのさ
硬く握りしめたぐうに勝つから
ばあちゃんチョキチョキかにあるき
ぼけて手も
麻痺して手も
じゃんけんぐ〜と
誰もが
はらへる
つゆはれま
ピースがゆ ....
{画像=110604155503.jpg}
ヒヨコの足首を二つの指で掴む
飛ぶように羽を振り
尻を振り
首を振り
嘴を振り
黒い止め穴のような眼から溶剤の涙を幾筋も流した
幼い黄 ....
引っ掻き傷のような雨に
ふやけていく街の輪郭を
見ているようで見ていない
雨のまにまに
彼女の打算
蒸留水のような嘘が
グラスのふちを伝うのを
見ていないようで見てしまう
雨の ....
良かった とたくさん書いてある手紙
挫折した私にあてた 亡き先生の言葉
都会の勤めを一年で辞め地元に再就職した
仕事を覚えたての私に
あなたの事だから きっと会社の利益になる
早く決 ....
要するに
しっぽ
なんだと思う
ブロック塀を
渡る猫が
しっぽ
ぴん、と
アンテナ立てて
バランスをとる
そろりそろり
それでいて
悠然として
しっぽ
うっかり落 ....
雨が濡らす新緑の並木道
歩道を楽しげに歩く老婆と中年の女性
一つ傘の下まるで恋人のように腕を組み
女性は老婆の顔をのぞき
満面の笑みを浮かべて話しかけ
老婆は斜め上、女性の顔を見つめ
ニコ ....
きみを救うのはだれだろう
水底でうずくまるきみのせなかを
撫でるやわらかいてのひらをもつのはだれ
きずつかないために
きずつけるしかしらないきみは
しんでもいいような理由を ....
研ぎ澄まされた五本の配列が
私を誘う
息を呑んで見惚れる
あの人の指の先端部は滑らかなカーブを描いて
心に刺さってしまった
ああ
その鮮やかな三日月たちを
どうか私の肌に ....
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