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いつも私を見ているくらげは
どうしてそんなに嘘をついてばかりいるのかと
鈍く光る
私の中の嘘を全て吐き出してしまったら
なにが残るのだろうか
うすうす気づいてはいるのだけ ....
じゃりじゃり砂を噛む
骨と肉のあいだに砂がつまっている
心のすきまにも砂がつまっている
どうにかしなくちゃ
身体も心も重くなる
ソレダバ
耳を傾け片足トントントン
....
夜の通勤急行列車
ゆっくりだんだん蛇行しながら
「プシュー」と
最後に息を吐き出して一時停車
車掌さんのクネル声でどうやら信号待ち
皆も疲れて
「プシュー」と
....
ある寒い朝雑木林を歩いていると
桃色の温もりがありそうな耳が一つ落ちていた
自分の耳じゃなかろうかと
両手でそれぞれ触ると
ぽろりぽろりと落ちてしまった
あれれこれはいかんぞとすばやく手 ....
それはほんの三十分たらず
目が覚めると
私は誰なのか
四角い部屋はどこに位置しているのか
細胞が弾けたような
生まれ変わったような
今まで必死に詰め込んできたものが ....
フフフンノフン〜
ジャバジャバダバダ〜
ムチャ〜チャシソレ〜
ポケットの中から何やらハミングが聴こえてくる
携帯電話が通話中になっており
お爺さんらしき人がそれはたぶんお風呂に違 ....
部屋で寝転がり
凹凸のある真白い壁紙をじぃっと眺めていたら
いてもたってもいられなくなり
クレヨン屋さんに走る
奥行きの広い店内には何百色ものクレヨンが
一色ずつ一本ずつ
天井まで透明 ....
ふと気づく
同じ人に同じ話題を話している自分にぞっとする
それも初めての如く話しているそぶり
相手はなんだか苦笑い
空転のソラがコロガル
カラコロコロカラ
カラコロ ....
もやいがほどけて
岸からゆっくり離れ惰性ですすむスワンボート
寂れた観光地の人工湖は静かでのっぺりしている
スワンボートは誰も乗っていないんだったら
おひまをいただき
ペ ....
これは嘘の雨
かろやかなハリボテのよう
びゅうびゅうびゅうびゅう
大袈裟な風
ナナメヨコマエから
パサパサ顔を撫でる
コソバイぞ
向こうの空は晴れていて
....
いつもこんな具合に過ぎていく年の瀬
露天に並ぶ裸電球は飴色をしていて
なんだか同じような毎日と風景が
経た年月とともに霞んでいく
空き地でいそいそと
木のはぜる音と燃える ....
小学生の頃
校舎と体育館の建物の間に
ピロティと呼ばれる場所があった
そこは特に何かをする場所ではなく
コンクリートの打ちっぱなしの壁があるだけで
ボール当てやドッチボールをするには
....
水の底で暮らすガラス吹き職人は
毎朝一番はじめに真っ赤に燃える
とろけた溶岩を試し吹きをして
水の中に薄くて綺麗なまんまるいガラス玉を放つ
大体は途中で魚や鳥などに突かれたりして
弾けて ....
ストントストント
タンスがストンと
山に捨てられている
ストントストント
タンスの口はひらきぱなし
のっそり木立の間にストント佇む空気
ストントストント
そこ ....
ホホノホホホ 秋の穂ホホホ
掌から伝わる 生命の輝き
金色に映る波をかき分けて全身に駆け巡る新しい血
ホホノホホホ 秋の穂ホホホ
瞳に流れ込む 銀色の月
月の穂体中を撫でまわし全 ....
何年も帰っていない故郷にいる
当然私の居場所は無く
家族はそれがもう当然のように
暮らしているから
私が帰ってきても気づかないようで
いつもの口癖のような言葉を
えんえんとお互い喋っている ....
私は流木と一緒にこの浜辺へ打ち上げられ
長い時間を過ごしている
朝靄の中
私は何かがはじまる予感に抑えきれずに
流れてくる貝殻や硝子、缶からの破片を集めて
できるだけ体中に埋めつくしてい ....
雨が急に降り出し
ピアノ弾きがやってきた
ミドリイロのマントと
カラシイロのヤマタカボウでやってきた
そこらじゅうのいきものは
ハミングしている
硬いものや柔らかいものは
嬉しそうに ....
私は息詰まり行きどまりそうになり
どうしようもなくなったときに
小指を鉛筆削りの中に入れ
小指に繋がれた色々な糸と一緒に削ってしまう
それがいいことではないとわかっていながらも ....
マーブルチョコレートが飛んできた
ゆっくり螺旋状に流れるように
光を浴びてきらきら虹色をまとい
こちらに向かって飛んできた
昔、子供の頃本物のサンタの写真を見たとき
昔、校舎の窓から ....
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