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てのひらひらひら
紅葉ひらりひら
ほぅらほら
どこかでだれかが呼んでいるよ
重なり合った呼吸が
色を濃くしはぜる音
夕焼けが沈んでいくように
どこかに吸い込ま ....
冷たい空気が流れている
口に含むと清らかな声がする
春の匂いに予感する
夏の記憶が乱反射する
秋の夕暮れが頭から沁みだす
冬の初々しさに笑顔をほころばす
時と記憶が ....
見上げると木の葉はもう染まっている
風もずいぶんと冷たい
そうして
風で葉が落ちているのを
何も考えずに眺めていると
いつのまにか私が大切にしてきたことも
こうして ....
同じ言葉でも
私が放つ言葉と
あなたが放つ言葉は違う
私が放つ言葉でも
時と場所でとても違う
しかし言葉は私に
それぞれ違う形や色を見せながら
少しずつゆっく ....
この前山の道で見かけたカラスの死体は
ポトリと落ちていて
なんだかとても温かくて幸せそうな死体であった
私はカラスを不吉や気味が悪いというよりは
小生意気な賢い奴であり
....
長袖ビュンビュン
半袖ぴゅんぴゅん
お洒落じゃないから同じような柄ばかりの
シャツたち
ズボンもこれからの季節はずっと
うねうねコーデュロイを色違い二本
これから寒 ....
お風呂から出て冷たいハト麦茶を飲んだら
一緒に冷蔵庫にあった昨日の味噌汁
明日まではもつまい
だからおたまですする
いつかの映画で囲炉裏に吊るされた鍋から
木のへらで貪る ....
おばちゃんは小気味よくステップを踏む
一秒たりとも無駄にせず
牛乳や豚肉、キャベツや卵を
カゴからカゴへ
手をかざすかのようにバーコードを読み取り
お会計を済ましていく
....
街中で知らない人と沢山すれちがう
わさわさ人
つつつ つつつ
つつつ つつつ
つらなる人と私
駅につきすれちがう視線
電車に乗り窓の外を眺めていると
つつつ つつ ....
清らかな川の水に足を浸していると
冷たくて気持ちいい
足の先に触れる石の声が
沁みこんできて
生まれ変わっていくようで
何も考えずに
河原に転がる大きな石となって
....
まだ曇り空
少し前に雨が降って地面は濡れている
綺麗に洗われた石畳の道を歩き
色艶溢れて髷結う人々が行き交いそうな
長い石段をゆっくり登っていると
小さな蛙がよこから
....
もう少しだけ私の人さし指が長かったら
彼女と繋がっていただろうにと
どちらからかかけたのかわからないが
久しぶりだねと携帯電話で話している
今何をしているの
今まで何をし ....
それほどまだ情報が発達していない時代
町の駅前ショップ
一枚がとても高く
気軽に買えたものじゃなかったけれど
流行りものには流されたくなくて
出来るだけ自分の感性を信じて
小一時間そして二 ....
さっきまでここにいたのに
だれもいない
冷たい空気が流れて気持ちが良い
スイカが一切れ置かれていて
がぶりと一口
すうっと目の前がうすれる
だれもいない
とっ ....
氷がとけて
カラカラまわる
扇風機の羽がとんでいく
いくつもいくつもとんでいく
レモンイエローそそぐよ光
玉粒の汗が夏の匂い
浴衣姿が綺麗だねと
寿司屋の前で ....
むっくりと太った柴犬がのしのしやってくる
なんかその照りぐあいは
焼きたてのチョココロネのようで
ぎゅっと抱きしめたら
頭からぽろりととれて
チョコクリームがどっさりでてきそうだ
チョ ....
楽しそうに笑っていれば楽しくなる
哀しそうに泣いていれば哀しくなる
薄っぺらな安っぽい
電飾で着飾ったフラダンスショー
ハリボテの楽園で目をつぶれば
夕暮れ浜辺で一緒にフラダンス
....
道路を歩いていると
クワガタが一匹転がっていた
手のひらに乗せて眺めると
綺麗な姿は無駄がなく音もなく
生きているのか死んでいるのかわからないので
こつこつ指先で叩いてみると
ギザギザ ....
段差段差
すらりと綺麗な人が
高いヒールでぐにゃりとごろりところげた
うしろを歩く私へ
勢いよくかかとが飛んできた
私はちょうど
小ぶりで可愛らしい
さんかく ....
今日は何か落ち着かない
そわそわ
そわそわ
空から漫画のコマが落ちてくるように
ぺらぺら
かくかく
現実感のない風景が広がっていき
何もかもが軽くて壊れてしま ....
そっと風が吹けば
散り散りにこころは飛翔し
うらおもて
うらおもて
ひるがえり
夕暮れ空の向こうで
群れをつくり
大きなさかなが一匹
空をゆっくり泳いで ....
百円で買った文庫本
アメリカのとある古い短編小説
マウンテンパーカーの前ポケに
ちょうどだからと出かけるときに文庫本
雨がぱらぱら
結局ざぁざぁ
一日降って傘をさし ....
いかにも楽しそうに
エプロンをつけた
ふくよかなお母さんたちが
トランポリンで器用に
跳ねて宙返り
錐もみで
所狭しと回転している
その宙には
くるくる生地がまわりまわり
具材が ....
お稲荷さんを歩いてたら
耳の千切れた猫が一匹
やぁやぁ久しぶりおやつをちょうだいなと
お前と会うのは初めてなんだがなぁと
仕方がないからリュックを下に降ろして
開けようとする ....
もみあげの
はしっこをつまんで
ちょりちょりならす
くしょんと晴れる
寒いんだか暖かいんだか
どっちなんだか
そろそろひょっこり
蕾がふっくら
はにかみはにかみ
耳たぶを ....
三角フラスコで
コポコポ
何度も抽出した液を
スポイトで一滴
ポトリと額に垂らしたら
私はぬるりと溶け出して
ぐるぐる機械から絞り出され
滑らかなソフトクリームに
生まれ変わってい ....
一匹のからすが
あおあお鳴いている
小さな子供が歩きながら
あおあお
あおあお
声に出して真似している
雑木林の中から
鈍く光った黒いマントが見え隠れする
前を ....
どこもかしこも豆板醤
爆竹弾けて踊る龍
そんなことなら豆板醤
炒めてしまえばうまくゆく
いつものところで豆板醤
温もり探して触れる指
ここぞとばかりに豆板醤
フレフレ鉄鍋揺れ ....
一つあれば十分なのだが
二つ三つあれば
何かあったときに
安心だから揃えてしまい
ただただ
綺麗に使わず
とって置いてあるだけなのだが
虚飾に満ちた
幸福感にじわっと
武者震 ....
巨大な駅に降り
ぐるぐる同じところを何回もまわり
見上げれば
巨大なデパートが
たくさんそびえているわけだが
道路を渡りたくても信号機はなく
びゅんびゅん車が走っている
大きな歩道橋 ....
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