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一月も終わる
暖かな日曜日
夜になって
北西風が窓を叩く
ヘッドフォンしてなくてよかった
コブクロより君がいい
だって風よ君もずいぶん
さみしそうに聞こえる
なぜこんな時に扉を叩くの
花瓶に花の活けていない
美味しいお茶のあてすらもない
ましてや椅子は一人分
花なら持ってまいりました
お茶の用意もしてきましたよ
あなたの部屋の電気ポット
....
あれが空教えられずに知っていた赤子の頃から迷うことなく
六歳が翼の折れた雀ひとっつ手のなかで死なせ向き合った冬
そこまでは坂をのぼってゆくんですいまのこの日も胎児の日にも
....
すみれの咲く秋がある
すみれが好きな少女のために
春の庭に生まれた夢が孵る時がいまなんだ
と秋の実りにそよぐすみれ
常冬に住む老婆の許の菫色の裁縫箱には
針と糸と針刺しと並んでセピア色の ....
手で「ちょき」を一人の時にしたことが無いと気づいてふとやってみる
アルプスのどこかで飲んでいるつもり一杯のココア晩秋の部屋
透明の水彩絵の具で描かれた君の九月の絵のナス食べたい
....
不注意でピカルディを
生まれて初めて割ってしまった
その刹那あなたの姿が帰ってきた
絶対に大丈夫と思っていた強化ガラス
この世に絶対なんてないと言いたかったのか
絶対にわたしよりも先には ....
少ない数の河川敷への道のりがあって
少なくない枚数のなみだがあった
手の爪を切って足の爪も切って
生きている生きていると唱えながら夏を越えた
母さん、と
生者へ呼びかけることのなく
父 ....
陽当たりと静けさを求めてこの
大きくも小さくもない寂れた町に流れ着いたおばあさんがいました
南西角の四階に住んでいました
階段の最上階です
知り合ったのは近所のスーパーマーケット
あまりに荷 ....
果たされない約束が遠のいてゆく
博愛は封印されて
初夏の風鈴のように ときに
さやかに りん、と在るを語るでもない
ゆく道は涯てを知られず
帰り道はすでになく
芥子の花のうなだれて
....
#
さびしさが一輪咲いて
ほら風にそよいでいるよ
きのうも、
あしたもあさっても
♭
いつかのうたが立ち去りがたく
苦いの我慢してお薬飲んでる
#
か ....
きれいごとばかり言ってられない
ときには口さがない人のことを思ってしまう
ああ、きっとと思い詰めたりもして
肩が凝ってお薬や湿布ではどうしようもなくなる
火の無いところにも煙は立つことをみ ....
遠のいた六歳の背丈からのまなざしはもう
わたしだけが知っていて
本当の潮風を忘れ
たやすく唄われる海の風景だけはいつまでも
地球はあおい星だから
その歌たちはたぶん続くのだと
確信して ....
ひかり草がきょうは青紫を纏い
インク花はそれが気に入らないらしく
いつもより繁殖している
間違えるなと言わんばかり
ひかり草は気がついて少しピンク色を帯びた
あくびを一つしたのはそれは
....
きのう爪を切った
生きていることを感じながら丁寧に切った
今朝、前髪が目にうるさい
しっかりと目覚めてから切ろうかなと思う
1ミリか2ミリで全然違ってくることは知っている
前髪を切ったら ....
立ち去ったなかの死別のひとは
かなしみばかりを連れては来ない
思い出しては泣くことも
確かにそれは多いけれども
立ち去ったなかの死別のねこは
かなしみばかりを連れては来ない
思い出して ....
何度振り返ってもあのタンポポ
踏まれる場所に咲いている
アスファルトから芽を出して
どうしてもそこが良かったんだね
風からの問いに頷くように
そよいでもみたそうな
けれど地に這って咲い ....
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