よるになると
ぴい、と音が鳴る
この部屋のどこからか
耳を澄ませる
出どころを
さがしあてようと
眼をつむり
耳だけになってみる
飼ったはずはない
けれどそれは
とりのこえに似てい ....
こころは
ときめかない

生ぬるい海に
独り沈む

愛のない
こころで
懸命に生きても

ただ
空しくて
哀しい

そこのそこに
落ちて
こわれる

解放
ただそ ....
――ミルカ ヌカルミ

そんな回文が虻のように掠めた時
女のなにくわぬ横顔は真新しい日記帳で 
天道虫だけが慌てて這いまわっていた
とても大切なものを落としてしまい
それがなにかも思い出せ ....
遠く君、
光の点となり
消えていく
石燈籠をぐるりと廻り
追いつけない追いつけない

生は死を含み
死は生を含み
宇宙の大海原を
渡っていく帆船
現に獲得した智に
自ら発光しなが ....
窓辺に座って目の高さの夜桜を眺める

春霞の空は街のひかりを吸って灰色に濁っている

額にあたる風が花びらを舞わせている

涙のようだ

あのときわたしが流した涙のようだ

涙はし ....
氷の針が心臓に突き刺さって苦しいと思うとき 海から全ての海水が巻き上げられてぼくの口へ吸入器のように入れられるとき きっときみはひとつの歌を口ずさむ ひとつの祈りを口ずさむ、ひとつの海の駅名を口ずさむ .... 夜が明けるまえ車を出した

帰る道がわからなかった

なのにライトが道を照らしていた

タバコを求めるためだけに酒場にはいった


おととい加齢臭のおとこに7時間拘束された

む ....
{引用=
朝がほどけると、水面に横たわり あなたは
かつて長く伸ばしていた
灰色の髪の、その先端から 
魚を、逃がす 
皮膚は、透きとおって ただ
受容する 水の、なまぬるい温度だけを
 ....
星ひとつ 星ふたつ 静かに尽きる夜

キリンは街をさまよい歩く

まっすぐな線がまだいくつも

引かれていない 幼子の 夢の灯を

螢の群れる木のように 揺らしてそっと

キリンは ....
あの陽だまりに置き忘れられた深い裂け目
おれの胃袋はもう紫色の朝へ停泊していた
窓から女が見えた裸のまま
微笑んでいた カメラの前みたいに
ブラインドが降りるまでの一瞬だった
おれはその一瞬 ....
シニイタル(裸の王様の)純白の衣は光を撥ねる
飛沫は激しく辺りに散って眼球も例外ではない
橋は静かに燃えている 赤い闇が河のような朝
盲目に見知らぬ鳥のタクトだけが縄梯子として風に揺蕩い
「握 ....
夜陰に
静けさの
微かに揺れ動く

ベッドを囲むカーテンから
白の色 剥がれ漂い出し

微かに振動する
静まり返った
四方空間に

彷徨い落ちゆく白の色の
帰着すべき基体の不在 ....
 
 蝶が、
 たくさんの蝶が舞っている
 ビルとビルの稜線で区切られて
 行き場を失くした空に
 乱舞する蝶たち
 

今ある全ての理は、夢のように移ろい
留まることを知らない
 ....
天才は生まれてくる
天才はきっと生まれてくる
それは私達の人生を切り取り
稲妻のように照らし出す
悠久の生命を生きる
悠久の生命を生きる
それは私達の人生を切り取り
一瞬にして照らし出す
飛行機がなめらかにすべって往く
そう青くもない春の空
だだっ広くてなにもない
つかみどころのない空気の層を
真っすぐ切っているだけなのに
こんな遠くまで聞こえて来る


――あれは空気 ....
路傍に落ちている石は
思い悩むことはない
そこに在る
それだけで満足し
微笑んでいる
蹴とばされても
それを意に介せず
ただ転がるだけ
私はそんな石に
敬意を表し
憧れている
目 ....
目鼻立ちの麗しさではなく
口もとからふと匂い立つ色香でもない
清水の底から沸き上る泉のように円やかな微笑み
それは微笑んで見せようとする思いの仕草が
表情を作り出すよりもどこか深いところの水脈 ....
倦怠感を憶えて
窓を開ける

細い絹糸のような
雨がいつのまにか
降っている

雨は悲しみに
余りにも似ている
だから私は
雨が好きなのだろう
だから私は
悲しみが好きなのだろ ....
聡明な目が おきゃんに くすりと笑ってる
黒板の端から端へと 飛び回るプリマドンナ
人差し指のプロジェクタースイッチが効かないときの
パソコンに急ぐ あのお方のご様子は マドンナなの  ....
ブラックホールに吸い込まれた
星雲は
真新しい宇宙に出現し
新世界を構成する

ぼくは永遠列車に座り
真っ赤なリンゴを抱え
星巡りの歌を歌い
失われた友を待つ

ぼくが来世に生まれ ....
あなたのせいという
急速な風に吹かれて
青葉がつぎつぎと落ちるように
暦が落ちてゆきました


あなたのせいという
見えない伝書鳩が
ひと息いれる暇もなく
夏の星座の下を行き交いまし ....
大きな箱だった
膝を抱えてすっぽり隠れられるほど
そんな立方体を展開図にして
悲しみの正体や理由
いちいち解説してくれるけど

「まったくなぐさめにならない」 そう言うと

 《なぐさ ....
最終連は
とうに終わっていても
締められた言葉は
いっこうに完結するようすもなくて
視線は
空を漂う余韻の行き先を
見つめている

その時
一羽の冬燕が目の前を横切るも
地面に落ち ....
水になってひそむ
死んだ者たちの{ルビ通=とお}ったこのほそい水系に
官能の色彩はすでにない
光りの粒子のように時は流れ
序章のように生誕の時は流れ
星が囲んだ戦場につめたい炎の舌がみえ ....
風たちが姿を消した
――一瞬
井戸に落ちた片耳のリング
わたしの中のわたしのエコー

響かない{ルビ鈴=りん}の透き通った苦悶
冷気の侵食 いのちの抗い
――再び
風たちに抱きすくめら ....
風もなく、静かな夜半に
疲れたかすむ目を、外に向ければ
ここから見える桜木に、花が咲いている
それは、わたしの目にだけ映っている、花
七分咲きの、満開の、はらはらと散りゆく花びら
走馬燈のよ ....
中空に散乱する
既にある言の葉

伸びる指先すり抜け
浮遊し消える

友との親交には
不都合はないのに
爛れる細胞の端々は
突かれ壊れ果て
繋げても 
繕っても
詩想は枯渇し
 ....
腰が痛くて歩けなくなっても、
恐怖にすくんで脂汗かいても、
手が訳もなく震え続けても、
全てを失い意気阻喪しても、
大丈夫、大丈夫だよ
生き抜く意志さえ失わなければ
全てを学ぶ機会と受け止 ....
フロントガラスの雪
百や千もの指が
百や千もの詩を書こうとして
なにも書けず
スルスル流れ
見通しの良い隔たりは
光景だけを素通りさせる
百や千もの天の指紋が
色も形も失って
理由を ....
都市は 心の模倣だろう
粉糠雨に 街灯が燈る
心の溝にも 点在した明るさが次第に道になる

見えない糸で繋がる送電線
車のように動きまわる明かり
しずかに一人きりの夜をともす ....
ヒヤシンスさんのおすすめリスト(2301)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
よるのとり- そらの珊 ...自由詩23*17-3-24
- 星丘涙自由詩3*17-3-23
淡水系- ただのみ ...自由詩12*17-3-23
現智- ひだかた ...自由詩317-3-21
夜桜- 吉岡ペペ ...自由詩917-3-20
塩の柱- 白島真自由詩31*17-3-20
帰る道- 吉岡ペペ ...自由詩817-3-20
記憶を、汲む- 望月 ゆ ...自由詩27*17-3-19
夜のキリン- ただのみ ...自由詩12*17-3-18
ビショップ- ただのみ ...自由詩15*17-3-15
詩絵- ただのみ ...自由詩7*17-3-11
白のイマージュ- ひだかた ...自由詩15*17-3-10
胡蝶の夢- 長崎哲也自由詩8*17-3-10
悠久の生命を生きる- 渡辺亘自由詩217-3-9
春の飛行機- ただのみ ...自由詩16*17-3-8
路傍の石- 星丘涙自由詩4*17-3-6
美しいひと/日時計- ただのみ ...自由詩13*17-3-4
優しい雨- HAL自由詩4*17-3-4
青い鳥の飛来- るるりら自由詩13*17-3-4
賢治のオマージュ- レタス自由詩1317-3-2
あなたのせいという- 本田憲嵩自由詩18+*17-3-2
悲しみの展開図- ただのみ ...自由詩18*17-3-1
最終連から始まる詩片のような残音- 長崎哲也自由詩20*17-2-28
くにの記憶- 白島真自由詩27*17-2-26
孤独の定義録- ただのみ ...自由詩11*17-2-25
望桜花- 長崎哲也自由詩7*17-2-24
枯れ枝- 星丘涙自由詩4*17-2-23
捧げる- ひだかた ...自由詩9*17-2-23
がらすゆき- ただのみ ...自由詩13*17-2-22
粉糠雨の街灯_- るるりら自由詩19*17-2-22

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