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汗をかいたグラスの前で
ケーキが跡形無く姿を消した
白い皿の上
スプーンとフォークはうつ伏せて
優しく寄り添っている
昨夜の別れ際
握った君の手のぬくもりを
思い出す午 ....
最近どうも
君の胸に鍵をさすことができない
手にした鍵を
むりに入れてもしっくりせずに
疑心暗鬼な手つきで
がちゃがちゃと
右や左にひねっては
君の表情を曇らせてばかり
だ ....
さびしさに
ひざをかかえて
タオルケットははいだまま
「る」の字でねむる
あの{ルビ娘=こ}は今頃
遠い空の下
今夜も誰かに抱かれて
求めあう「る」と「る」を
くみあわせてる
....
もう何年も前のこと
ある夜のブラウン管の中
孤高のステージで
赤毛を振り乱して歌う{注ジャニス=アメリカの歌手}
夭折した彼女の生涯を
ナレーターが語り終えると
闇の画面に
白い文字 ....
自らのおぼつかない足どりに
黙って下を向いてたら
「歩けるかなぁ ・・・
じゃなくて、歩くのよ!」
隣で僕を支える君が
猫背をたたき
ぬくもった平手で「気」を入れた
....