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灰緑の部屋で 私たちは
話をしている
天井や壁に貼りつけた
太陽や月や星たちを
そろそろ違う場所に
貼りかえようか と

私たちは長らく
この部屋に棲んでいる
いや あるいは
この ....
夜の傾斜をくだってゆく
くだるたびに傾きがちがうような
いつもおなじような気がする

夜だから傾斜は暗い
ところどころに湿った火がともっている
そのそばにその火を嘗める獣が
いたり
い ....
また夏がめぐり来て
空も緑も色深まり
光と影が幻のようにあざやかに世界を象っています

夏の花々も色が強く
私には似合わないのです
降りそそぐ{ルビ眩=まばゆ}さと熱にも
ただただ圧倒さ ....
声を聴かせて
おのずから妙なる旋律を宿すその声を

流れがうまれる
その声が意識に触れた場所から
涼やかにゆるやかに
深くたゆたう流れがうまれる
私はその流れに
身をゆだね
漂う
 ....
夢みたものは 何でしょう

呼びかけたのは 私だ と?
いいえそれは きっと気のせい

知らない小路に
迷い込んだの?

あやしい影が見えかくれしています
怖いのなら
ついて来ては ....
偽造された朝を押しつけられても
注文どおりの覚醒など出来よう筈もなく
自らを小さく蝕むことで
存在可能な時空をどうにかつなぎとめ
意識はただ浅く笑い
深く滅んでゆく



 ....
夜と交わす記憶は
あらぬ方向へめくれてゆく
形の定まらない部屋に
ひとつまたひとつと
見えない炎がともってゆく

この身体のそばを通るとき
時の流れは
とまどったようにとろりと遅くなる ....
蒼白の薄明
永遠に処女の領域

素数のみで刻まれた暗号
純粋遊離線

冷たい蜃気楼
置き去られた天象儀

倦んだ庭園
途絶えがちなピアノの音

未分化な恐怖を秘めた深淵 ....
眠りは当局から支給される
月にいちど注文をすることになっている
私は主に スタンダードな「白の眠り」を注文する
けれどいつもおなじ眠りというのも
あじけない気がするので
やはりスタンダードな ....
プラットフォームで 日陰のベンチに坐り
僕は詩を書いていた
いいや君への手紙だったのかもしれない

白い午後
静かな校庭のこと
いたいけな青空のこと

いいやそんなことじゃない
間奏 ....
そしてまた世界は
からっぽに明るくなる
このいたずらな明るさの中では
何かを見分けることなど出来やしない

事象たちが書き割りのように
意識に貼り付く
歩きたい道を見いだすことも困難なの ....
私の中に
午前を飼っている
白い舟がいくつか
遠く漂う午前だ
華奢な草の葉がためらいがちに揺れ
吹く風のなかに
覚束なげな青さが
消えない午前だ

もう長いこと飼っている
だからも ....
燭台にともされたろうそくの炎が
一点の曇りもない銀のナイフとフォークに
照り映えています
用意された皿はただ一枚
白い無垢な皿です
さあ時間になりました
採れたての ....
夢のように美しく 哀しい

きらめく空中ブランコ
この手に掴めたもの
掴めなかったもの

きらめく空中ブランコ
この春と夏とを彩った
ときめきを見送る

きらめく 宙を舞う肢体
 ....
夏雲がゆっくりと渡ってゆきます
手をかざしても よくは見えないけれど
僕らの記憶は 眩いあのあたりで
いまも青空にまみれて 遊んでいるんです
あたりじゅうすべてが蜃気楼と化してしまいそうな
夏の午後
裾の長い木綿の部屋着に包まれ
籐の長椅子で微睡む一個の
流線型の生命体
窓からのゆるい風が
肌にときおり触れて過ぎる
ほの甘くあ ....
かなしい夏 ?


夏の首すじが
眩しい

何もすることのない午後

空気さえ発光している

しなやかな夏のゆびさきが
飽きもせずあやとりしてる

夏はあの木立のてっぺんあた ....
心ゆくまで涼もう
誰も居ない そして
自分も居ない処で
悪い子にはなれなかった
投げやりにほどいた長い髪を風になびかせ
夏雲が縺れあう丘の空の下
夢を{ルビ歪=ひず}ませて
立ち尽くしていただけ

「君」がきっと街からここまでさがしに来てくれる ....
埃っぽい風が立つ
ざわめきの中浮かんでは消えるように
表情たちが行き交う
楽しげでも悲しげでも
逃れがたい虚ろに巣喰われたまま
とめどなく流れつづける
呼び声や歌声が
ざわめきに尾を引い ....
眠りの中心にたたずむ
黒いしずかな球
その球を無垢な白い身体で抱きしめて
いつまでも眠っているのは誰だろう
六月の
曖昧な空の下
白くたたずむ部屋
横たわる私の身体から
刻一刻と
鼓動がこぼれ落ちる

けだるい指で
クロニクルのページを繰る
季節は私には
いつも晩くやってくる

忘却 ....
把みきれない現実に
心が過剰で収拾がつけられない
はみ出してゆく言葉たちが
僕を取り囲む時空に傷をつけてゆく
瞳はいつも怯えたように見開かれてしまう
何故対峙してしまうのだろう
何故融合で ....
そのはじまりからすでに
鋭く亡びに縁取られているのが夏で
青空と陽射しがどれほどあかるくても
そのあかるささえ不穏なのが夏で

蝉が鳴き騒いでも
祭の喧噪が渦巻いても
濃密な静寂が深々と ....
PULL.さんの塔野夏子さんおすすめリスト(24)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
灰緑の部屋で_私たちは- 塔野夏子自由詩15*07-2-11
夜の傾斜- 塔野夏子自由詩14*06-9-3
夏に還る- 塔野夏子自由詩14*06-8-5
声を聴かせて- 塔野夏子自由詩9*05-12-29
いざない- 塔野夏子自由詩8*05-11-29
- 塔野夏子自由詩11*05-11-17
夜_と- 塔野夏子自由詩12*05-10-31
elements- 塔野夏子自由詩14*05-10-11
眠りのシステム- 塔野夏子自由詩35*05-10-5
間奏曲- 塔野夏子自由詩12*05-9-19
九月の黙示- 塔野夏子自由詩17*05-9-13
午前を飼う- 塔野夏子自由詩26*05-9-3
晩_餐- 塔野夏子自由詩7*05-8-27
サーカス- 塔野夏子自由詩11*05-8-17
夏の天辺- 塔野夏子自由詩12*05-8-9
午_睡- 塔野夏子自由詩18*05-8-5
かなしい夏- 塔野夏子自由詩20*05-7-31
夕涼み- 塔野夏子自由詩8*05-7-23
丘の空- 塔野夏子自由詩8*05-7-17
- 塔野夏子自由詩8*05-6-21
眠りの核- 塔野夏子自由詩14*05-6-11
午後の舟- 塔野夏子自由詩12*05-6-7
scratches- 塔野夏子自由詩8*05-5-31
夏について- 塔野夏子自由詩27*05-5-23

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