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腕時計をすると
その下に洞穴ができて
取っ手のないバケツが
ピチョン ときた時のために
埋め込まれている
なげ槍の中に住み込み
解毒剤の研究をしているスルメ
永遠の若さって 日干しね ....
介添えの眠るお天気雨
ふくらませたかかと
眼を覚ませば
占いのためにだけ
花を摘めない人がいる
なくした言葉を入れる
風の器は すぐに壊れ
花の行方に問いたかったのに
ここ ....
なだれゆく 曇天の鱗
きりぎり 虚空にさす枝先
絡めた糸で 傷付けるから
鳥は 近づいてはいけない
どこにもいらない花のように
身を潜めて
散る花の中へおちていく
踏む先に ....
きれた風が コップの中
五つの渦を 見上げている
行きつけの船の舵取りにしか
読めない星雲
人指し指をやめない
子守り歌は
コップのガラスをまわり
砂丘におちていく蝶の
石 ....
早朝の五時から受け付けをする
眼科の玄関の前には
五時前から人が並ぶ
診察は八時からだけど
みんな 少しでもはやく見てもらって
仕事や生活に戻ろうと
ガラス戸が開くのを待っている
....
なをかけ
そらす
わにゆれ
くいる
つつしむ
よるに
こびんの
はおと
すめない
つちに
とべない
かぜに
まつうた
うたう
はなれぬ
はると ....
枕の高さの分だけ
浮いてる孤独
しわのように
なみが 追いかけてくる
向きを変えたいけど
やっと こもってきた熱だから
隙間に入り込む外の風を
力なく拒む
しろくにごる ....
折れた枯れ枝に添ったまま
消えていく水時計を持つ土色の葉
陽射しを後にした地の床への風くぐり
通りの方から聴こえる小声
渓谷は乾き こぼれた石
切れた羽に 埋め込まれ
飛ぶ ....
枠に閉じたら 絵だと
逆らわなかった息づき
飛べたものが 石の中
墜落もできずに
鎮火を待つ間
まだ 蝶でいる
いえでします
と書き付けて机に置いた
小学校に とりあえず向かう
誰に叱られてだったか
何故か知っていた 家出というものを
はじめて決行した 小学一年生の時
きょろきょろみた ....
結婚が決まって 指輪を買いにいった
おもちゃみたいなアクセサリーばかりの私
緊張して店員さんに 結婚指輪をと言うと
いろいろみせてくれた
自分の指のサイズも まともに知らなくて
次々に ....
花の咲いた間だけ
とげに触れぬように
見張るように透明なコップに
移し変えたのは
空の下で枯れるすべての事から
逃げるためですか
守るためですか
とげよりもおそろしい指で
....
倒れたからって
いつか倒れるんだから
なんの問題もない
みえなくなっても
いつかみえなくなるんだから
逆らわない
動かないのか
動けないのか
はっきりしろ
寝たままで
....
月の 蜂つぼ
ねかせられた
宿のない小石
そらんじた沈黙
からかうような
漆黒の 隙間
吹き矢に痺れる
鈴の壊れそうな
苦みになく小声
外堀の端に 蝶が あら ....
どこから こぼれてきたのですか
雨の かがみ込んだ内で
抜けられない 靴ずれに
しみる痛み
知らないうちに 紛れ込んだ
砂の汚した 靴下
脱いで 素足になりたいけど ....
サンタになる
と 義父が言ったのは 六十歳になったあたり
子供の頃からの夢だと言い
衣装をそろえ 駄菓子を買い込み
白い布など用意したので
義母は 義父用に衣装をつめたり
白い袋にした ....
かかえこまれて
光線から隠れて
鼓動の深さに滲む
羅列
虹のような破線
こぼれる
ガラス の
底の底
あなた
立ち去りなさい
私が
自由になるのだか ....
何が 入りこんでいたのかも
突き止めては いけないものみたいに
吐き出すものに 流れて 流して
ターン するために ターンさせられ
海 の 底
開けられちまった 無口な口に
....
おでかけじゃないさ
ココの 塩ぬるい空き海に
連れて来た手に
ちゅー返り
波にサスラワレタ
ひとつ
瓶が
帰れないで いるはずで
沈みな ....
コルクにあわせた
瓶などないのに
飲み ほしたら
捨て去られるだけなのに
杖のように立って
流れていかないように
静かに仕事をしている
歌われないことなど
気にもしない ....
ラップの上に海苔をしいて
ご飯をのせて
梅干をいれて
また ご飯をのせて
そっと 両手で包んで
おむすびをにぎる
まあるくまあるく
はい できあがり
そして はっと 気 ....
こゆく さなぎり
はたて まどのみ
ついた ひごそで
まりせ ふむりん
ささぐ こみちね
わたす はねつち
ほせよ ほうれぬ
かがり くみこい
コップの中
流れを止めた水源
下りの道の続きにある
渇いた喉へ
飛ぶのは 鳥
咲くのは 花
記憶ならないもののほうが多い
逆らえるのか
蕾でしかない このカオスは
海 ....
どうして兄弟でもない男の人と
いっしょに暮らさなければならないのか
結婚前に、たずねた
そういう決まりになっているんだ
と 彼氏は言った
あんまりあっさりと言うので
笑ってしま ....
わたあめの 中の
といだ 蜜
くぼみに溶かされた
まつり
包めないから
カーテンていうきれぎれに
爪にしか渡れない
ささくれ の 先
夕暮れの 歩道橋
見えるはず ....
きりきりと張られた
暗い夜道
向かう音のない雨
片側だけで 聴く耳
もうひとつの行方
舗道を流れる
外灯の明りに
寄りすがり
つぶてに 落とされた 蛾
パタパタと 動か ....
排気口に 流れて行くために
従っている 繰り返し
とられた息
ためた息
去れば野にささやくものが
指
目
噛み締めるものに 寄り添って
信じそうなあぶなくないと信じそう ....
私 帰るから
駐車場で 車に荷物を入れている 夫に
私は 口走っていた
何か言ったか とふり返った時
もう 走りだしていた
このまま 新居になんか行きたくない
結婚なんてしなけ ....
自転車の私と
白い軽自動車の先生が会ったのは
広い水田の中の十字路
偶然にもかごには
できてきたばかりの詩集
それはコピー誌で手作りで
でも 作品を集めてお金をだしあって
イラストを ....
ビンが 薄いレモン色に 枯れていく
花というものを 残せない
屈折の返る 生真面目な黙殺は
水辺リに 傾けられて寄り添った
青雲への 憧れに空域をなくす
満たされぬ受け口の 外に ....
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